研究ノート
2021.09.30
体の弱かった私を助けてくれた漢方。
多くの患者さんに役立ててもらえるような漢方生薬の新しい可能性を探しています。
【第4回】
番場佳代子さんBamba Kayoko薬学/サイエンスって何を学ぶの? 日々研究に打ち込む学生に話を聞いてみました。
番場さんが取り組んでいる研究テーマについて教えてください。
私の研究テーマは「関節リウマチにおけるメトトレキサート様の生薬の探索」です。関節リウマチは、関節におけるT細胞やB細胞などのリンパ球が異常増殖することでおこる病気です。現在は、メトトレキサートという薬剤が主な治療薬として使用されていますが、それに代わる薬を漢方に使われる生薬の中から見つけることが研究の目的です。
生薬を使うとどんなメリットがあるのですか?
メトトレキサートは効果が強いのですが、その分副作用も強く、薬価も高いです。また、他の病気との関連から、メトトレキサートを使用してはいけない人も多いことが知られています。そこで、副作用が少なく、効果が徐々に現れるという漢方薬の利点を活かすことができればメリットは大きいと考えています。
この研究テーマを選んだ理由を教えてください。
親戚に関節リウマチの患者さんがいたことも理由の一つですが、もともとは漢方薬に関わる研究をやりたいと思っていました。というのも、私は小さい時は体が弱くて、よく漢方薬をのんでいました。その影響もあって、以前から漢方薬にとても興味がありました。
進学先も漢方薬を詳しく学べる学部のある薬科大学を選びました。
漢方薬が身近な存在だったんですね。研究で面白いと感じる瞬間はどんな時ですか?
研究では、まずiPS細胞でリウマチ病態様のモデルを作り、そこに生薬を添加して効果があるかどうかを調べるのですが、最初のiPS細胞からモデルを作る過程ではたくさんの手順をクリアしなければならず、そこにすごく手間と時間がかかります。ただその分、上手くいった時の喜びは大きく、やりがいを感じています。
今後の進路や将来的な夢を教えてください。
私は今まで、創薬に関する勉強や研究を続けていましたが、同時に薬を上手に使う育薬にも興味がわいてきました。今後は臨床の現場に近い薬学を学び、総合的な薬学、特に漢方薬のエキスパートを目指したいと思っています。
最後に、進路について考えている後輩たちにメッセージをお願いします。
薬学は、理科や数学が得意でないと難しいのかなと思われがちですが、そういうことにとらわれすぎず、「実験が好き」とか「薬に興味がある」といった思いを大切にしてほしいです。興味があることを追求するという部分を大事にして、進路を選択してほしいと思います。
番場佳代子(ばんば・かよこ)
横浜薬科大学 薬学部薬科学科4年 機能性物質学研究室
研究テーマ:関節リウマチにおけるメトトレキサート様の生薬の探求
趣味:音楽を聴くのが好きで、勉強中もずっと聴いています。最近はYOASOBIばかり聞いてます。
(取材実施 2021年7月)
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