2022.03.22

今明確な目標が無くても焦らずに、大学での学びの中で、自分の将来の道を考える。

【第10回】

小林洋介さんKobayashi Yosuke

薬学/サイエンスって何を学ぶの? 日々研究に打ち込む学生に話を聞いてみました。

取り組んでいる研究テーマについて教えてください。

私は「小児の母集団薬物動態/薬力学モデルの構築」をテーマに、研究に取り組んでいます。
薬は、しっかり効かせる(薬効)とともに、副作用をできるだけ小さくすることが重要です。私の研究では、先駆者達の公表データをもとにコンピューターの中にバーチャルな人を作り、薬の血中濃度や薬効・副作用の強さをシミュレーションし、実際の患者さんのデータと比較することで予測精度を評価しています。小児は成人と異なり、体の成長度により薬物を代謝・排泄する能力や薬効の強さが変化する上、臨床データも限られているため、あまり精度の高くない数理モデルが出来上がってしまうことがあります。小児の生体に合う薬物のモデルの構築は容易ではありませんが、モデリング(コンピューター内に人を作ること)&シミュレーション(そのバーチャルの人に投与すること)の技術を駆使して、予測精度の高い新しいモデルを構築することで、小児の安全な薬物治療や医薬品開発に貢献できると考えています。

この研究を選んだ理由などはありますか?

医薬品開発のセミナーを受講した際、製薬企業が薬物動態/薬力学のモデリング&シミュレーションの研究に取り組んでいることを知り、その重要性を感じました。そこで私もこの研究について興味を持ち、深く学びたいと思いました。

研究ではどのようなところに面白さを感じていますか?

研究は最初に仮説を立てることから始まります。もちろん、仮説通りに進んだ時の喜びは大きいのですが、仮設通りの結果が得られなかったとしても、その理由や原因を考察したり、先生方や研究メンバーとディスカッションしたりすることも面白味の一つだと思っています。仮説通りいってもいかなくても違った面白さがあるということが研究の魅力ですね。

卒業後はどのような仕事に就きたいですか?

現在の研究を活かせるよう、製薬会社に就職したいと思っています。そのために少しでも知識や経験を蓄積したく、研究成果を学会で発表したり、セミナーなどに積極的に参加しながら勉強をしています。

最後に科学への道を志す学生へメッセージをお願いします。

高校時代に、化学の分野に携わりたいなど、大まかに大学でどんなことをしたいかを考えておくのがいいと思います。私自身も、高校生の頃、化学の反応式の勉強が楽しかったという漠然とした理由で、化学を学べる大学を選びました。高校までに勉強したことが、どのような形で社会に役立つのか分からず、明確な目標がなかったとしても焦る必要はありません。大学生活を通じて自分自身と向き合う中で、真剣に取り組めるものを見つけていって欲しいと思います。

小林洋介(こばやし・ようすけ)

横浜薬科大学 薬学部薬科学科4年 臨床解析学研究室
研究テーマ:小児の母集団薬物動態/薬力学モデルの構築
趣味:音楽を聴くのが好きで、最近はボサノバを聴くことが多いです。家で勉強する際もボサノバを流していると集中できます。最近好きな漫画は異世界転生もの。

(取材実施 2021年10月)

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