2021.08.06

消費者の声に耳を傾け、さまざまな肌の悩みを抱える人に寄り添える製品を作りたい

【第2回】

持田ヘルスケア株式会社 
旗野 翠さんHatano Midori

多様多彩な理系のお仕事を紹介します。

現在の仕事を選んだきっかけを教えてください。

高校生の頃から化粧品や食品といった身の回りにある商品を開発する仕事に就きたいと思っていました。大学は、将来の仕事に必要な知識や技術を習得するために、農学部に進学しました。農学部と言うと農業の学びというイメージが強いかもしれませんが、化粧品や食品の開発に関連性の強い学問です。私が大学4年から大学院2年(修士課程)まで所属していた海洋生物生産利用学という研究室では、海産物から抽出した成分、例えばセラミドやカロテノイドの皮膚へ与える影響やその消化吸収機構について研究しています。

修士課程修了後は、化粧品や食品の職業に就くことにあこがれていたので、博士課程には進まず、メーカーの商品開発部門に進むことを決めました。

現在の業務内容を教えてください。

化粧品と医薬部外品の商品開発をしています。

担当している商品の使用感や使いやすさについて市場調査を行い、改善する点を洗い出します。それをもとに、処方設計や容器の検討などを行います。処方設計は、実験室でその商品にあった原料を選定し、調合して、有効成分や製剤としての安定性を確認します。容器の検討では、例えば、光によって成分が劣化しないよう、光を完全に遮断できるような加工がされているか、などについて検証します。

その後、モニターの方に実際に商品を試していただき、その声をもとに何度かブラッシュアップして最終製品に仕上げます。

弊社の開発部門は、市場調査から最終製品へと仕上げるまでの工程すべてに関わっています。消費者の声が開発者までダイレクトに届くのが特徴です。

仕事の魅力を教えてください。

自分が担当した製品が世に出ることですね。ユーザーがその商品を気に入ってくれて、しかも悩みを解消できたのなら、それに勝るものはありません。

開発者としてやりがいを感じることがある一方で、課題もあります。開発者と消費者の認識の違いです。例えば、「肌に優しい」という表現です。情報社会の弊害かもしれませんが、一般の方はいろんな情報を目にします。いろいろな成分が含有されている商品のほうが「肌に優しい」と認識されている方もいるようですが、肌が弱い人にとって、それが弊害になることも少なくありません。メーカーとしては、ターゲットに合わせた商品開発をしていますので、商品のコンセプトや意図を一般の方にどう伝えていくのかが今後の課題と考えています。

職場環境について教えてください。

商品開発というと一人で黙々と実験をやっているイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。処方設計などで悩んだ時は先輩方に相談してアドバイスをいただくこともあります。

また、子育てしながら仕事ができる環境を用意してくれることもありがたいですね。私自身、0歳児の母として育児と並行しながら商品開発をしています。

これからやってみたいことは?

入社して5年目になりますが、発売までできたものはまだ数品しかありません。これからもっと自分が携わった製品を世の中に出していきたいですね。最近は、子どもを入浴させている時に、肌に優しい成分などについて改めて考えるようになりました。例えば、保湿剤を使わなくても十分に保湿できる入浴剤などがあれば、育児の負担も軽減できますよね。今後はママの視点から商品を考えていけたら嬉しいですね。

学生に向けてメッセージをお願いします。

高校生の頃、大学で研究している方の話を聞く機会があったのですが、研究成果が商品開発につながり、それが世の中の人に喜ばれることの素晴らしさを知り、私もこんな人になりたいと思うようになりました。

皆さんにはまだまだ可能性が秘められています。いろんなことを経験して視野を広げ、自分に合った仕事を見つけてほしいですね。

旗野 翠 (はたの・みどり)

持田ヘルスケア株式会社 開発部所属
京都大学農学部・同大学大学院農学研究科で海洋生物生産利用学の研究に従事する。2017年に持田ヘルスケア株式会社に入社し、化粧品と医薬部外品の開発に携わる。趣味は音楽鑑賞で、好きなバンドのライブに行くことも。

(取材実施 2021年6月)

持田ヘルスケア株式会社

持田製薬のグループ会社として皮膚科学研究に基づいたスキンケア製品を手掛ける化粧品メーカー。敏感肌向けの低刺激性スキンケアブランド「コラージュリペアシリーズ」をはじめ、日本初の抗真菌成分配合「コラージュフルフルシリーズ」など様々なお悩みに寄り添った商品を開発・販売している。

持田ヘルスケア株式会社

この記事をシェア!

▲