理系の進学
2022.08.23
資格を持つ専門職が目標、女性が一生働けるキャリアを選択
【第3回】
緑ヶ丘女子中学校 高等学校副校長 森郁乃先生
進路指導部副部長 下澤良介先生
「特進・看護医療コース」を持つ緑ヶ丘女子中学校 高等学校(神奈川県横須賀市)の森副校長と進路指導部の下澤副部長が、女子ならではの進路選択についてお話しします。
進路の選び方について
森先生 私たちの高校は「特進・看護医療コース」と「総合・進学コース」に分かれていて、看護医療を目指す生徒は、高2からメディカル英語や医療に関する時事問題を学ぶ授業を選択し、聖ヨゼフ病院での看護体験などに参加します。
「地域の訪問看護師になりたい」「ドクターヘリに乗って緊急医療に携わりたい」など、具体的な目標を持つ生徒が多いのが特徴です。私たち教師はこれまでのネットワークを生かし、「この大学は、地域医療に貢献する人材を育てている」「ここでは災害医療について学ぶことができる」といった情報を提供します。そのため、生徒の希望と大学とのミスマッチが少なく、ほとんどの生徒が大学の総合型選抜や学校推薦型選抜で進学先を決定しています。
下澤先生 まず自分が何をしたいかを考え、そのために必要な大学や学部を選び、そこに入学するのに必要な授業を選択するというように、進路を逆算するのです。「数学が苦手だからこの大学には入れない」と思うのではなく、「やりたいことを実現させるためには、これを勉強すればいい」と考えてもらうようにしています。
専門の道を目指す生徒たちをサポートするため、国語科や英語科の教師も医療に関する専門知識や医療従事者としての倫理観などを学び、進路に直結した授業を行っています。
女子が求めるキャリアとは
森先生 今は生徒たちも保護者の方も「女性が一生働けるようなキャリアを」と考えており、「専業主婦になりたい」という声を聞くことはほとんどありません。資格を持つ専門職となり、一定以上の収入を得て、結婚・出産を経てまた職場に復帰できるようにと、将来設計を明確に立てています。例えば人材が不足している薬剤師などは、いったん離職してもまたすぐに再就職できる可能性が高く、一生続くキャリアを求める人に向いていると言えます。
また、本校では、子どもを持って働いている様々な職種の女性を招き、生徒に講演を行ってもらっています。実際に社会に出るとどのような働き方があるのか、どんな問題に直面することがあるのかを実体験から知ることができ、自分の将来像をイメージしやすくなります。
新型コロナウイルスにより医療がひっ迫していると盛んに報道されていた時期には、「自分が高校生であることが悔しい。今すぐ社会に出て人の役に立ちたい」という生徒も大勢いました。それだけ、働くことに対する高い意識が育っていると感じました。
自分に自信が持てるようになるには
下澤先生 もちろん、最初から目標がはっきりしている生徒ばかりではありません。入学当初は、「自分に何ができるのか、何がしたいかわからない」という生徒もいます。私たちは、日々の学校生活の中で生徒たちの思いをきちんと受け止め、その生徒ができること、得意なことを一緒に見つけるようにしています。
いったん自分に自信が持てるようになると、後は成長が早いですね。周囲に言われなくても自分から勉強するようになり、模試の成績などがグッとアップします。
森先生 今、大学の薬学部に6年生として在籍している卒業生は、「特進・看護医療」ではなく「総合・進学」出身です。合格したとき、「中学生のときは、自分が薬剤師になるなんて、絶対無理だと思っていた」と話していました。最初から成績がよいわけではなくても、日々コツコツと勉強を続けることで、道が開けてくるものです。
高校生へのメッセージ
森先生 中高でいろいろうまくいかないことがあったとしても、それで将来が決まってしまうわけではありません。高校生のうちに、自分らしさを発揮できる場を見つけてください。そうすれば、本当にやりたいことを実現させるためのチャンスをつかむことができるはずです。
今回お話を伺ったのは
緑ヶ丘女子中学校 高等学校
副校長 森郁乃先生
進路指導部副部長 下澤良介先生
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