2023.12.08

【イベントレポート】今年も行ってきました!サイエンスアゴラ2023

今年も11月18、19日の両日、東京・お台場のテレコムセンターを会場に、日本最大級の科学イベント「サイエンスアゴラ2023」が開催されました。
今年で18回目を迎えるこのイベントは、あらゆる立場の人たちが自由に参加できるオープンフォーラムで、科学研究者と一般市民が対話できる場となっています。今年はブース出展やトークセッションなどおよそ150団体の発表が行われました。
ほんの一部ですが、ご紹介します。

Gakken × JST-RISTEX
「あなたを導く! 学問みくじ」

受付を通過してすぐに現れた鳥居。おみくじが引ける神社!?
「自然」「社会」「レジャー・エンタメ」「芸術・スポーツ」「社会課題」から関心のあるジャンルを選んでおみくじを引くと、見に行くべき展示が指し示されます。
『世界が広がる学問図鑑:「気になる」は君の個性だ!』(Gakken)の編集チームと、サイエンスアゴラ実施担当JST-RISTEXとのコラボ企画。

神奈川工科大学 応用バイオ科学科
「生命とは何か~生命の仕組みを理解するのに有用なゲーム・教材の開発~」

頭と身体を両方使い、楽しみながら生命について学修できるゲーム・教材の開発を行ってきた神奈川工科大学応用バイオ科学科。実際に各種ゲームで遊べるコーナーで、特に子どもたちで大盛況でした。筆者は植物を環境と災害の関係性を対戦ゲームにトライしましたが、かなり完成度高い!

テクノ未来塾
「江戸時代のハイテク・イノベーターと未来を考えよう!」

企業エンジニア有志によるグループ「テクノ未来塾」さんは、日本のものづくりの源流とも言える江戸時代のハイテク・イノベーターを解説するアトラクションを。歴史上の偉人たちが改めて先駆的な存在であったかを知る機会となりました。

エイト特派員(fromらぶラボきゅ~)
「宇宙に住める未来!どんな星に住みたいですか!?」

YouTubeチャンネルでも配信している“とつげき!ちきゅうの研究室「らぶラボきゅ〜」”は参加者が考える「こんな星に住みたい!」という想像を元に、惑星Qからやってきた、Q王国のQ星人のエイト特派員が対話してくれるプログラムを実行。子どもたちの発想力が豊か!

立教大学 理学部 SCOLA
「視点共創型オリジナルゲーム 対話の森のホーホウ」

フクロウをモチーフとした、研究者と一緒に「答えのない問い」について考えるゲーム「対話の森のホーホウ」を紹介。題材として提示される問いに対して、プレイヤーはすでに用意された答えも参考にしながら、複数名で対話を重ねて自分達なりの答えを導き出す。研修やチームビルディングに最適なので商品化してほしいです。

カワノラボ・アイニューム・ダイヤモンドブルーイング
「微生物の世界を知ろう ~ビール醸造を通じて~」

大阪大学発ベンチャーであるカワノラボ、味の数値化をもとに食品の開発を行うアイニュームと、熊本のクラフトビール醸造所ダイヤモンドブルーイングが、科学の裏付けによるビールの美味しさを解説。ホップに含まれる界面活性成分がビールの泡立ちに作用して喉ごしの良さを生み出している… といったことも。発酵とお酒、微生物と酒の関わりを教えてくれました。

市民参加型研究 地球冷却微生物を探せ
「気候変動対策の救世主?土壌微生物による温室効果ガスの削減!」

地球温暖化を防ぐためにはCO₂排出量の抑制が最も叫ばれていますが、実は行うべきはそれだけではなく、農業肥料など人間活動から排出されているN₂O(一酸化窒素)の削減も必要だということを知っていますか? そしてN₂Oを消去することができる微生物が存在することも分かっており、いまこうした“地球冷却微生物”を探し出すプロジェクトが始まっています。このプロジェクトには誰でも参加して協力することが出来ます。ブースでは、中心的に活動している東北大学大学院生命科学研究科の大久保智司先生が有志を募っていました。
詳しくはwebで。↓

ジオラマ行動力学、北大中垣研究室、東京農工大篠原研究室
「単細胞なんて言わせない! 原生生物、驚異の生存戦略」

ゾウリムシやアメーバなど、数億年前に生まれた原生生物は原始的で単純な生き物ですが、地球上の激動の環境変化を生き抜いてきました。これら原生生物の動きや構造を研究し、現代社会でのあらゆる分野に応用して役立てる研究が行われています。それにしても、顕微鏡で見る原生生物の姿は見ていて飽きない。

JAMSTEC海域地震火山部門・付加価値情報創生部門
「深海の岩石たち:海の底にはなにがある?」

世界中の海洋底を調査しているJAMSTECは、海底から採取した珍しい岩石標本を展示。細長く伸びた枕状溶岩、宝石のようなピクライト、海洋底に露出するマントルの岩石など、海洋底の成り立ちを想像できる貴重な標本に目を奪われます。

新渡戸文化中学校 実験教室ラボ ・ 東京大学生産技術研究所 松山研究室
「ひみつの研究道具箱~最新技術でピンチを切り抜けろ!~」

東京大学生産技術研究所の松山桃世准教授が開発したカードゲーム「ひみつの研究道具箱」は、最新の科学技術や新素材を題材にしたもの。参加者は中学生たちとこのゲームを通して対話を行なうことで、研究者が思いつかなかった研究の新しい使い道を模索するという企画でした。

STEM Leaders
「学生必見!社会課題を一緒に解決しよう!主役は君だ!」

学生団体がデータサイエンスの技術を駆使して全国の地方自治体が抱える社会課題解決に取り組んできた実績をポスター発表。保険に頼らない介護サービスの構築、フードロスの解消、ゴミ減量化などといった問題をデータ分析の面で貢献してきました。人材や資源が不足していく社会のなかで、データの利活用がますます重要な時代になっています。

東京工科大学メディア学部 吉岡研究室
サイレント・コミュニケーション体験

音声を使わないコミュニケーションを体験できるシミュレーションコンテンツのデモを実施。音が聞こえない状態のなかでジェスチャーや手話で言葉を伝える体験をすることで聴覚障害への理解を深める。聞こえのバリアフリーをどうすれば実現できるかを考え、誰もが共生できる社会を作っていくことが必要です。

京都産業大学 生命文化学研究室
「ゲノム編集×カードゲーム〜対話で知る科学〜」

倫理的な面や技術的にも賛否が分かれることが多い問題である「ゲノム編集」に関するカードゲームを紹介。このゲームではプレイヤーは研究者や神父、消費者など様々な立場が与えられ、割り当てられた立場で「ゲノム編集」についての意見を考え、対話する。ゲームをきっかけに技術の利点や問題に対する理解を深め、自分自身の考えに向き合うことができます。

普連土学園高等学校
「地球温暖化を解決するための地球規模のエネルギー革命」

深刻な環境問題である地球温暖化の要因であるCO₂の排出について、問題意識をもった普連土学園高校2年生の矢吹美空さんは、エネルギー問題を学ぶ中で火力発電にも原子力発電にも頼らないCO₂を排出しない水素エネルギーに注目。温暖化の影響で国土が水没しつつある赤道直下の被害国の実態も調べ、こうした国々が水素発電エネルギー立国になる構想をまとめ上げました。未来に向けて避けて通れない環境とエネルギー問題について真摯に取り組んだ発表でした。

じっくり楽しむには丸一日、いえ二日間かけても良かったかもしれません。 ご紹介したほかにも学生のエントリーも数多くありました。対話によって学びを深めるこのイベント、ぜひ皆さんも来年参加してみては?

オンラインでの参加団体の企画はこちらで視聴することが出来ます。

https://www.jst.go.jp/sis/scienceagora/2023/online/index.html

昨年「サイエンスアゴラ2022」の模様はこちら

https://science-manabi-lab.com/topics/t-article14/

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