2022.12.21

「好き」を大切にして、独創的な発想やアイデアを生かした道を目指す

【第7回】

横浜創学館高等学校
進路部 理科教諭 猪居千絵子先生

理系生徒の進学・就職について最近の傾向やアドバイスを伺うコーナー。
第7回は、大学院で農学を学んで理科教諭となった横浜創学館高等学校(神奈川県横浜市)の猪居先生に、理系志望者として目指すべきことや準備のうえで大切なことなどを伺いました。

最近の受験で求められていること

総合型選抜や学校推薦型選抜の入試が増える中、志望理由書や小論文の書き方が重要になってきています。理系の学部学科では、高校でどのような実験を行い、どんな研究テーマに取り組んだかを書くことが求められるようになってきました。
その対策としては、夏休みなど時間に余裕がある時に実験に取り組み、高校時代の成果として備えるようにしておいた方が良いと考えます。

また面接では、温暖化や廃棄物処理など現代の環境問題に関連した質問が出るようになっています。
そこで本校では、現在行なわれている燃料電池などのCO₂削減のための新技術や海洋プラスチック問題、砂漠化問題などについて新しい情報を常に仕入れ、授業内で生徒たちに伝達して、これらの問題に身近に捉えられるようにしています。

目指す学部や学科の決め方

私自身は子どものころ、山や森を歩いて動植物を観察するのが好きで、自分が興味あることを究めたいと、大学で農学を専攻し、大学院まで進みました。数学は嫌いな科目だったのですが、好きな農学を学ぶために、努力して勉強を続けました。

学部や学科を選ぶ際は、単に「受験科目でいい点が取れるから」というのではなく、自分の好きなこと、興味がある分野を優先させることが大切です。「この職業に就きたい」という具体的な目標がなくても、「大学で自分の好きなことを続けたい」というだけで、立派な動機になります。自分のやりたいことを実現させるためだと思えば、苦手な科目の勉強にも自ずと力が入り、嫌なことも苦ではなくなってくるでしょう。

特に伸ばしておきたい力とは

理系の学部学科でも、小論文を必須とするところが増えています。いい文章を書けるようになるには、たくさんの本を読むことが大切です。しかし、スマートフォンの影響なのか、本を読む機会があまりなく、長い文章を書くのが苦手な生徒が増えているようです。

私たちは生徒に、毎日文章書く習慣をつけるよう指導しています。例えば、その日のニュースの中から気になるものを選び、内容についての概要を書く。それについて自分がどう思うかを書き、その理由を述べる。文章が上手になるだけでなく、多くの知識を得ることができ、いざ小論文などを書こうと思ったときに、題材が見つけやすくなります。将来大学で卒業論文を書くときにも役立つでしょう。私自身、子どものころから読書が好きだったのですが、その経験は、成長してから大きな財産となっています。

高校生へのメッセージ

インターネットで大学の情報を検索したりすると同時に、高校の進路ガイダンスを参考にし、進路指導の先生に相談してみてください。長年進路指導に携わっている教諭は、「この大学はこういう分野の研究を得意としている」といった情報を提供することができます。

また、1年生のときから、オープンキャンパスに気軽に足を運んでみるといいでしょう。研究室公開がある場合は、ぜひ訪問してみてください。実際に大学の雰囲気に触れ、「このキャンパスの中で学んでみたい」という気持ちが生まれると、それが受験に当たって心の支えとなります

理系の仕事は実験や観察をするだけでなく、実はとてもクリエイティブな面があります。その人ならではの発想やアイデアが大切で、それを得るには、自分から情報を探してさまざまな体験をしておく必要があります。独創的な考えを持って研究するという気構えを持って、将来の道を歩んでください。

今回お話を伺ったのは
横浜創学館高等学校
進路部 理科教諭
猪居千絵子先生

横浜創学館高等学校ホームページ

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