2022.01.20

たくさんの人の健康や幸せに貢献できることが科学・化学の魅力だと思います。

【第8回】

百﨑いくみさんMomozaki Ikumi

薬学/サイエンスって何を学ぶの? 日々研究に打ち込む学生に話を聞いてみました。

百﨑さんが取り組んでいる研究テーマについて教えてください。

私の研究テーマは、糖尿病治療薬であるDPP-4阻害薬の体内動態メカニズムの解析です。

糖尿病は、インスリンの働きが低下することで血糖値が上がり、糖代謝に異常をきたす病気です。治療薬の一つであるDPP-4阻害薬は、インスリンの分泌などを調整して血糖値を下げる働きがあり、副作用の少なさなどから治療に用いられることも多いです。

私の研究では、細胞培養の技術などを用いてDPP-4が発現する仕組みをつくり、この薬がどのようなメカニズムで作用するかを調べています。それを明らかにすることで、薬の効果がしっかりと発揮されるだけでなく、副作用を防ぐなど安全性にもつなげられると考えています。

百﨑さんはなぜ薬の研究をしようと思ったのですか?

飲んだ薬が体内でどんな働きをしているのか、興味がありました。
私が小さかった頃、病気を患っていた祖母が薬物治療を続ける中で、性格まで変わってしまいました。その時、薬が心身に与える影響の大きさを実感し、薬についてもっと知りたいと思うようになったのです。

研究ではどのようなところに面白さを感じていますか?

常に新しいことを学べるところですね。研究を進めていると、知識だけだったものが目に見える結果として現れることも多くて、研究は新しい発見の連続といえます。
また、私の場合はグループで研究を行っているため、研究過程で疑問点などが出ると、メンバーとディスカッションを行うこともあります。その際、自分でも気づかなかった新しい考え方や見え方が得られることもあり、そういうところも楽しいと感じる瞬間です。

どんな仕事に就きたいですか?

以前から何か身近にあるものを扱う仕事がしたいと漠然と考えていました。まさに薬は私たちにとって非常に身近な存在だと思っており、大学卒業後は製薬企業などで薬の生産や品質管理の仕事に携わりたいと考えています。

最後に科学を志す学生へメッセージをお願いします。

科学や化学は、自分自身の知識として身につけるだけではなく、広く社会に貢献することができる分野です。例えば、私の場合は薬の研究なので、そこで得た知識や研究成果を活用することで、たくさんの人の健康や幸せに貢献できると思っていますし、そのことが科学・化学の魅力の一つだと思います。「誰かの役に立つ」ということが、きっと大きな原動力になると思いますよ。

百﨑いくみ(ももざき・いくみ)

横浜薬科大学 薬学部薬科学科4年 臨床解析学研究室
研究テーマ:DPP-4阻害薬の体内動態メカニズムの解析
最近の趣味は料理。コロナ禍のステイホーム期間に始めて、今ではすっかり作る喜びを感じている。

(取材実施 2021年10月)

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