研究ノート
2025.07.24
【研究室訪問】“支えるもの”の力を解き明かす ─ 細胞外マトリクスの機能に迫る─
お茶の水女子大学 ヒューマンライフサイエンス研究所 宮本研究室(動物分子細胞生物学分野)
宮本泰則教授インタビューMiyamoto Yasunori
宮本研究室ではどのような研究に取り組まれているのですか?
この研究はどのように役立つのでしょうか?
研究の魅力とは?
高校生へメッセージをお願いします。
今は情報があふれていて、世間の“はやり”に流されやすい時代ですが、私はぜひ、自分の興味を大切にしてほしいと思っています。人と同じことをやるだけでは、本当に面白い研究にはたどりつけません。広い視野を持って、いろいろな分野に関心を持ち、経験の中から「自分はこれに惹かれるな」と思えるものを見つけてほしいと思っています。
私自身も、最初は漠然と「生物の研究がしたい」と思っていましたが、今取り組んでいる細胞外マトリクスの研究とは全く違うイメージを持っていました。研究者の道は一本ではありません。紆余曲折があっても、自分の興味に正直に、誠実に向き合っていれば、きっと道は開けていきます。
宮本泰則(みやもと・やすのり)
お茶の水女子大学ヒューマンライフサイエンス研究所 教授
最終学歴 筑波大学大学院生物科学研究科博士課程生物物理化学専攻修了
博士(理学)(筑波大学)
専門分野:細胞生物学、神経生物学
趣味「あまり思い当たらないのですが、しいて言えば、旅行かな?最近ですと、家族と一緒に国内だと九州、沖縄、国外だとカンボジアに行きました。」

細胞外マトリクスを深掘る研究室生活を送って
研究室所属の学生にもお話を伺いました。
山下 茉佑さんYamashita Mayu
いま取り組んでいる研究・実験内容を教えてください。
研究生活はどうですか?
もともと、人の健康に関わるような研究がしたいという思いがあり、宮本研究室を選びました。先生はとても優しく丁寧に相談にのってくださいますし、間違えても「そこから何かが生まれるかもしれない」と受け止めてくれる雰囲気があり、安心して研究ができています。研究生活はマウスの飼育や日々の雑務など、研究以外の作業も多くて大変です。でも、そうした地道な積み重ねがあるからこそ、研究が成り立つのだと実感しています。予想と異なる結果が出ても、それを丁寧に追いかけていく過程にこそ、研究の面白さがあると感じています。

研究を志す高校生へメッセージをお願いします。
山下茉佑(やました・まゆ)
お茶の水女子大学 人間文化創成科学研究科 ライフサイエンス専攻 生命科学コース 博士前期課程2年
研究テーマ「肝障害進行に及ぼす細胞外マトリックス分子ビトロネクチンの役割」
月に2~3回、海外の料理を食べに行くのを楽しみにしています。特にタイ料理が大好きです。海外旅行も好きです!

高田 彩羽さんTakada Ayaha
いま取り組んでいる研究・実験内容を教えてください。
研究生活はどうですか?
動物や細胞に興味があり、宮本研究室を選びました。実験では、生後6日目のマウスの小脳から細胞を取り出して培養し、染色して、変化を観察しています。顕微鏡で一つひとつの細胞をカウントする作業はとても地道で、1視野あたり200〜300個の細胞を数えることもあって大変です。でも私は、パソコンに向かってデータを処理するより、手を動かして実験する方が好きで、時間も根気もかかるけれど、自分の手でデータを集めて少しずつ結果が見えてくると、やっぱり楽しいなと思います。

研究を志す高校生へメッセージをお願いします。
高田彩羽(たかだ・あやは)
お茶の水女子大学 人間文化創成科学研究科ライフサイエンス専攻生命科学コース 博士前期課程1年
研究テーマ「細胞外マトリックスによる小脳顆粒神経細胞分化の制御」
世界遺産を勉強するのがとても好きです!卒業旅行でイタリア、スペインに行って世界遺産を見学し、歴史的背景や何がすごいのか?を勉強したいなと強く思い、情報収集を開始しました。

■研究室紹介
お茶の水女子大学ヒューマンライフサイエンス研究所 宮本研究室(動物分子細胞生物学分野)
多細胞動物は、細胞外マトリックスと呼ばれる物質により、物理的に維持されています。それだけでなく、細胞外マトリックスは、細胞の増殖や分化を制御しています。宮本研究室では特に、神経細胞の分化、突起形成、また損傷修復への細胞外マトリックスの役割に着目して研究を進めています。

(取材実施 2025年6月)
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