2024.09.02

資源・エネルギー問題の解決に期待されるペロブスカイト太陽電池とは!?
2024サマーチャレンジinビオトピア

神奈川県西部の自然豊かな環境で「未病」改善を

8月17、18日の両日、me-byo valley BIOTOPIA (以下ビオトピア、神奈川県足柄上郡大井町)にて、科学や健康について学んで楽しめるワークショップやステージショーが繰り広げられるイベント「2024サマーチャレンジinビオトピア」が開催されました。
ビオトピアは豊かな自然に囲まれた環境の中、「未病」の改善をコンセプトとして、食・運動・癒しを体験できる施設となっています。
そもそも「未病」とは、人の心身の状態が健康である状態から病気になる状態にいたる間の過程を指した言葉です。完全な病気になる前に、「未病」の状態で予防して改善を図ることで健康を維持することができ、医療の効率化にも繋がります。
神奈川県では未病を改善するためのさまざまな取組みが行われており、ビオトピアは神奈川県西部の健康づくりの情報拠点となっています。


広い敷地内には森林浴やヨガ、みかん狩りなど自然に触れられる屋外スペースやドッグラン、地元の農産物やオーガニック商品を扱うマルシェやレストランもあります。
また、施設内の「me-byoエクスプラザ」では、健康チェックやエクササイズを体験できる様々なアトラクションも充実しています。


イベントでは健康チェックをはじめ、様々な体験型ワークショップからお笑い芸人のステージショーまで盛りだくさんのプログラムで盛上がりを見せていました。


ノーベル化学賞の候補にも!注目のペロブスカイト太陽電池とは

今回のイベントのなかでサイエンス学びラボ編集部が注目したのが、「ペロブスカイト太陽電池」の紹介コーナー。
ペロブスカイト太陽電池とは、高い変換効率と低コストの実現が期待される新しい太陽電池です。
建物の屋根や平坦地に設置されているような太陽光発電パネルで採用されているシリコンを使わず、薄いフィルムのような素材にも塗布・印刷して作ることができる太陽電池で、薄く、軽く、柔軟に曲げられる形状にできることが特長です。
曇りの日や雨の日など太陽光が弱い状況や、室内灯の光でも発電することができる高い変換効率があることも、従来型の太陽電池よりも優れています。
場所を選ばずに様々な場所で貼って「どこでも」発電することができるため、例えばビルの壁面に貼り付けることで大都市圏でも集中的に発電を行うこともシュミレーションされています。
また製造工程が少なく、大量生産できるので低コスト化も見込めます。
主な原料はヨウ素。ヨウ素の生産量は世界でも日本が第2位なので、国産の太陽電池としての生産が期待されます。


ペロブスカイト太陽電池の研究はノーベル化学賞の候補にもノミネートされています。開発の第一人者は元・富士フイルムの研究者で、桐蔭横浜大学医用工学部の宮坂力特任教授。
今回のビオトピアでの紹介コーナーは、桐蔭横浜大学発のテックベンチャーであるペクセル・テクノロジーズ株式会社と、実用化に向けて取り組む電子・情報通信企業の株式会社マクニカ、神奈川県(環境農政局脱炭素戦略本部室)の3者共同で出展されました。
展示ではフィルム状の発電モジュールを使って室内光で発電し、豆電車を走行させるデモや、同大学の池上和志教授による講義と、実際にフィルム素材を使ってペロブスカイト太陽電池の原型となった色素増感太陽電池を作るワークショップが行われました。


世界的に化石燃料資源の枯渇や地球温暖化などが深刻化する中、再生可能なエネルギー供給源として太陽光発電が注目されていますが、高い変換効率と低コスト化の可能性を秘めたペロブスカイト太陽電池の実用化には大いに期待したいところです。


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