飲料の開発はレシピだけでなく原料調達や製造工程との試行錯誤。飲んだ皆さんの評価が励みです。

飲料メーカーで商品開発に携わっている担当者にお話をお聞きしました。

現在の仕事を選んだきっかけを教えてください。

もともと食べることが好きで、食品に関わる仕事がしたいと思い、大学は食品系の学科に進学しました。大学では食品微生物学の研究室に配属され、食品添加物を使った食中毒菌の増殖の抑制についての研究をしていました。
大学卒業後は、食品添加物の原料メーカーに入社し、食品素材のアプリケーション（例えば食品に粘度をつけるために使用される増粘剤など）開発と、食品メーカーへの提案活動をしていました。
提案したものが食品メーカーに採用され、その素材を使った商品が世に出たこともありましたが、どの商品に使われているのか私たちにはわかりませんでした。自分の仕事が社会に役立っているという実感がわかなかったため、食品メーカーに転職することを決意したのです。

仕事の内容を教えてください。

お茶類・果汁飲料などの開発をしています。マーケティング部で作成した商品コンセプトをもとに、おいしくて安全な商品をつくることが商品開発部の仕事です。まずは中身液のレシピを作ります。製造工程やコストを考えながら候補となる原料を選び、試作と試飲を繰り返し、味を決めていきます。例えば、原料の品質や必要量確保できるか、想定した工程が工場のラインで対応できるかを確認します。

味が決まれば、工場で大量生産しても品質が変わらないよう、原料への熱や圧力のかかり方など、製造ラインの流れを想定しながら完成品に近づけていきます。配合量のわずかな違いによって味が大きく変わることもあるので、慎重に作業します。 そして、工場でテストをして大量生産できることを確認します。またパッケージに記載する原材料や栄養成分表示なども作成します。 開発から店頭に並ぶまで4カ月～半年くらいです。新商品・リニューアル商品を合わせて1年間で15品くらいの開発に携わっています。

仕事のやりがいや魅力を教えてください。

開発したすべての商品が世に出るわけではありませんので、店頭に並んだ時は達成感がありますね。それから消費者の声もうれしいです。お客様相談室への問い合わせはもちろんのこと、SNSで商品名を検索すると、商品に対する評価がわかるのもいいですね。家族や友人の言葉も励みになります。

開発者に必要な資質は何でしょうか。

限られた時間で商品を開発しなければいけません。1回の試作に2時間くらいかかりますが、計算ミスしてしまうと、その時間が無駄になってしまいます。栄養成分や果汁率を算出する計算力や正確性が求められると思います。

目標を教えてください。

商品名を聞いたら誰もが頭に思い浮かべることができるような広く知られる商品を作りたいです。

最後に学生の皆さんに向けてメッセージをお願いします。

今振り返ってみれば、大学の授業は価値のあるものが多かったように思います。現に、今の仕事に役立っているものも少なくありません。一つひとつのことを大切にして自分の目標に向かって頑張ってください。

横山 遥 （よこやま・はるか）

株式会社エルビー　営業本部　商品開発部　商品開発グループ　主任
2015年東京海洋大学海洋生命科学部食品生産科学科を卒業後、食品原料メーカーに勤務。その後、現在の株式会社エルビーに転職し、お茶類・乳飲料・果汁飲料を中心としたデイリーチルド商品の開発に携わる。趣味はゲームと映画鑑賞。

（取材実施：2021年10月）

株式会社エルビー

乳酸菌飲料メーカーとして1956年に創業。現在は紙パックのお茶・果実飲料を主力に製造しており、コンビニで販売しているお茶飲料ではトップクラスのシェアを誇っている。宅配ルートで提供する黒酢、グルコサミン等の健康飲料のほか、アサヒブランドのカルピス商品も製造している。

株式会社エルビー

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