コラム
2024.09.20
ハマヤクサイエンス研究会第3回学術発表会開催
発表レポート【医療・健康系】【その他】
「医療・健康」分野では2題の発表がありました。
研究タイトル「ガラクトースを選択的に分解する乳酸菌の探索」
順天高等学校
柿沼春帆さん、関百楓さん
乳製品の乳糖は通常、小腸でグルコースとガラクトースに分解されますが、ガラクトース血症ではガラクトースが蓄積し、健康に影響を及ぼします。これを改善するため、「ガラクトースを分解する乳酸菌」の探索を行いました。市販の食品に含まれる菌をMRS培地で培養し、培地に含まれるグルコースをガラクトースに換えた培地で調べたところ、市販の乳製品由来の菌はガラクトースを分解できませんでしたが、味噌とキムチ由来の菌はガラクトースを分解できることが確認されました。これらの菌についてさらに解析を進める予定です。
PC-03
研究タイトル「睡眠の質を高める方法」
加藤学園高等学校
植松心希さん、桜田和歩さん、勝呂麻央さん
睡眠は人間にとって不可欠ですが、日本の平均睡眠時間は7時間22分と短く、推奨される時間を下回っています。睡眠の質の向上を目的に、スマートフォンアプリPokémon Sleepを用いて、6時間睡眠を基本とし、睡眠導入行為の効果を調べました。ストレッチや音楽を利用すると、寝つきが良く、睡眠リズムが改善されましたが、音楽が逆に悪影響を及ぼすこともありました。平常時の睡眠ではノンレム睡眠が続く一方でレム睡眠がほとんど見られなかったことに問題があり、運動や音楽の適切な使用が有効であることが確認されました。
PC-06
その他、未分類でエントリーされた研究発表を6題紹介します。
研究タイトル「手にメモをして消えない最適な方法は?」
加藤学園高等学校
石井実幸さん、市川陽菜さん、杉山彩菜さん、脇本真那さん
日常生活において、手に書いたメモが汗や水で消えてしまって視認ができなくなる問題を解決するため、学校でよく使用されているペンを使って文字の消失過程を検証し、メモを長時間残す方法の検討を行いました。実験の結果、油性マジックで書いたメモが最も持続し、ワセリンでコーティングすることでさらに長持ちすることが確認されました。日焼け止めはインクを溶かしてしまうため逆効果でした。メモを長時間保持するには、油性マジックで手のしわが多い部分に書き、ワセリンで保護する方法が最適であると判明しました。
PA-05
研究タイトル「理科実験における自由度と楽しさの関係式」優秀賞
安田学園高等学校
谷口遥さん、瀬田悠太さん
理科実験の楽しさと自由度の関係を調べるため、理科好きと理科嫌いの人々にアンケートを実施しました。その結果、理科好きは自由度が高い実験を好み、理科嫌いは自由度が低い実験を楽しむことが判明しました。しかし、実験では積極性が楽しさに大きく影響することがわかり、積極性を考慮した新たな楽しさの式を提案しました。この研究が、理科実験の指標の1つとなり、理科好きの増加に繋がることを期待しています。
優秀賞おめでとうございます
要旨を読んだときにどんな研究内容なのだろう?と個人的に興味を持った発表の1つでした。理科実験の楽しさと自由度の関係式を示すことで、ぼんやりとした感覚でイメージしている事象をしっかり数値としてプロットしており、発想と合わせて大変興味深い研究でした。(編集部より)
PA-06
研究タイトル「プラスチックの使い捨て化をやめ、ゴミの削減を目指す」
関東学院六浦高等学校
根岸美優さん
住みやすい街づくりを目指すため、一般企業のプラスチック削減への取り組みについて調査を行いました。カフェでは紙製品やリユース容器の使用、スーパーなどではレジ袋の有料化とマイバッグの推奨が行われており、消費者もエコバッグを利用するなどして積極的な参加が見られました。発表者も環境に優しいといわれる生分解性プラスチックを制作してみましたが、実用に足るものではありませんでした。今後はプラスチックのゴミ削減問題も考えつつ、環境に優しいプラスチックの開発の2つを進めていく必要があると考えられます。
PI-01
研究タイトル「サービスロボットはサービス業においてどの様に関わっていくべきか」
東京都立戸山高等学校
青木咲太朗さん
急速な業務のロボット化に対し、ロボット化が適さない業務もあるのではないかと考え、サービス業におけるロボット化の評価基準の作成を目的として調査を行いました。トップ10社のサービスロボットを調査し、実際にロボット導入場所で顧客の視点から業務を観察しました。配膳や配送に使われるロボットが多く、応用性、精度、早さ、安定性で評価しました。調査の結果、配膳ロボットは応用性が高い一方、精度や安定性に問題が見られました。業務の精度を高くするには、応用性をあまり必要としない業務をロボット化することを推奨します。
PI-04
研究タイトル「災害時の井戸水の利用について」
横浜清風高等学校
小島祐奈さん、冨樫沙愛矢さん、小西瑠夏さん
鎌倉市では災害時に利用できる井戸水の情報が市のHPに掲載され、家庭の井戸水の提供を募集していることから、発表者らは避難所となる小学校と個人家庭の井戸水の水質検査を行い、災害時における井戸水の利用について考察を行いました。水質検査の結果、井戸水はどちらも飲用には適さない結果となりました。浄水フィルターを使い煮沸または塩素消毒で飲用可能になる可能性がありますが、専門的な知識が必要となります。災害時にトイレで排泄物を流すことに利用できますが、地震後や豪雨災害の時には下水管の確認が必要だと考えられます。
PI-06
研究タイトル「食中毒を防ぐための工夫 ~お弁当用ご飯の冷まし方について~」特別賞
横浜清風高等学校
笹原悠衣さん
夏期のお弁当は腐りやすく、食中毒の原因となるため、炊いたご飯の温度を20度以下へ下げるための迅速な冷却が重要となります。本研究では、電気炊飯器で炊いたご飯の冷却方法を検討しました。白米を用い、①常温放置、②冷蔵庫冷却、③金属バットで放置、④金属バットで冷蔵庫冷却の方法で、炊飯後の温度変化を測定しました。その結果、実験④の方法が最も効果的で、おにぎりの温度が30分で20度以下になりました。炊き立てご飯は冷却後にお弁当箱に詰めることが食中毒の予防につながると考えられます。
特別賞おめでとうございます
お弁当に炊き立てご飯をいつどうやって詰めるかは、お弁当を作っている人ほぼ全員を長い間悩ませている問題の1つなので、テーマ選びの着眼点が素晴らしいと思いました。私も1年中お弁当をつくっている身として、この研究の結果を参考にして今後炊き立てご飯と向き合っていきます!(編集部より)
PJ-06
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