コラム
2026.02.13
鵠沼高等学校第3回総合探究発表会 ~自分と社会をより良く変えていくために


1月31日、鵠沼高等学校(神奈川県藤沢市)にて、同校生徒たちによる「総合的な探究の時間」での取り組み成果の発表会が開催されました。
同校では、「自己と社会をより良く変えていく資質の育成と、社会に貢献できる有為な人材の育成」という学校目標に基づいて、「総合的な探究の時間」での学習が行われています。
探究学習において重視されているのが、「対話する力(≒コミュニケーション能力)」であり、三つの「対話」を柱として、課題に取り組まれています。
・自己との対話 ← 伝える力、自己理解、キャリア意識、問いを立てる力
・他者との対話 ← 伝える力、他者理解、協働性、傾聴力、リーダーシップ、チームビルディング
・社会との対話 ← 社会への興味・関心、当時者(主権者)意識、問題解決能力、異文化理解
発表会では、1年生は藤沢市の市政運営の「8つの基本目標」にもとづいたテーマ設定でのグループ発表を行い、2年生は一人ひとりが個々にテーマを決めて取り組んだ研究成果を発表しました。
ここでは2年生の研究発表から、主に健康・医療分野に関係する発表をピックアップしてご紹介します。
「高校生の睡眠不足を解消し、心身の健康を高める」
高校生に必要な睡眠時間が8~10時間とされる中、実際に同世代の実態を調査したところ、平均的に5,6時間しか睡眠時間が取れていないことがわかりました。そこで、睡眠時間を妨げる要因として「スマホ時間」「登校時間問題」「学校教育問題」の3つの問題を提起しました。スマホ時間については、就寝前30分前に物理的にスマホを他の部屋に置くなどの措置を取ることで本人の睡眠時間が増え、体調が改善したという結果も示しました。
「薬膳料理を作ろう」
薬膳料理に関心をもった発表者は、いつも簡単に食べられるインスタント味噌汁に、レモン・生姜・梅肉・レモン・ねぎ・ほうれん草・みかん(皮も)・きゅうり・みょうが・にんにくといった、漢方の素材としても用いられる素材などを加え、独自の「薬膳料理」として健康効果を体感できるか感想をまとめ、また味噌汁との組み合わせが味覚的にも料理として成立するかどうかの評価も行い、発表としてまとめました。
「医療格差をなくすためにできること」
発表者は将来医療職に就くことを志望しており、今日の社会課題として医療へのアクセスに格差が生じていることを探究テーマとしました。医療格差の原因は生活者個々の所得など経済的側面だけではなく、医師不足など地域格差が問題となっていることを挙げ、その解決の一例として佐久総合病院(長野県) での遠隔診療のモデルなどを紹介。そして病気にならないための未病対策が今後重要になると見解を示しました。
「怪我の治療・予防について」
発表者は陸上部に所属している背景から、運動時のトラブルについて常時向き合っており、ケガの予防や早く治すためのリカバリー方法について常に関心を持っています。発表ではRISE処置の解説をはじめ、自身で実践しているストレッチや温冷マッサージの方法を紹介し、実際に疲労感が軽減されることでケガのリスクも低減していることを報告しました。またアスリートとして意識している食生活についても実践例を紹介しました。
「甘酒革命」
地球温暖化に伴う酷暑の影響で近年熱中症の患者が増加傾向にあります。発表者は、ナトリウムや豊富な栄養素を含むことから「飲む点滴」とも言われ、夏バテや熱中症対策にも適している甘酒に着目。自身は愛飲しているのに、一般的にはあまり飲まれる習慣がない飲料であることから、その魅力を伝えることを目的に発表をおこなった。市販の甘酒6製品を飲み比べたレビューや、甘酒料理レシピを紹介。私見としては、さらさら飲みやすいタイプがおススメとのことです。
「生物密輸の対策」
アクセサリーや毛皮、医薬品の材料として、またペット用として、希少生物の密輸犯罪が後を絶ちません。自然保護ならびに生態系保護の観点からも重大犯罪とされ、ワシントン条約で規制されていても多くは摘発されていない現実があります。発表者はこの問題を調査し、一市民として防止に取り組める方法を模索。新江ノ島水族館や野毛山動物園での啓発ポスター掲示に取り組んだ実績を発表しました。一市民として個々にできるアクションとして、安易に密輸動物由来の商品を購入しないことを訴えました。
「発酵×腸×アレルギー」
発表者は白幡神社のどぶろっくフェスへの参加をきっかけに、発酵食品の奥深さに強く関心を持ちました。花粉症やアトピーなど、日本人のおよそ三分の一が悩まされているアレルギー疾患も、発酵食品を食用することで腸内環境を改善することで緩和されることを学びました。「発酵×腸×アレルギー」の関連性を多くの人に広めたいと考え、チーズや麹、酵素ジュースなどを取り入れた料理レシピも独自に考案し、こうした食品を通じた健康づくりについて認知を拡げていきたいと抱負を語りました。
いずれの発表も、出発点は自身の関心ごとから始まり、好きなものを突き詰めて学びに昇華させていたり、社会における課題だと考えたことを身近な人や地域に向けてどのように発信していくかを模索しており、まさに「自己と社会をより良いものに」変えていく真摯さが感じられるものでした。探究を通して得た知識や行動によって得た経験は必ず、これからの人生にプラスに働くことと思います。






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