2021.11.09

希望していた医薬品開発に関わる仕事。
統計学や薬物動態学の知識と技術を高めていきたい

【第5回】

株式会社EPクロア 
齊藤 望さんSaito Nozomu

CRO(医薬品開発業務委託機関)で統計解析を担当している齊藤さんに話を伺いました。

現在の進路を選んだいきさつを教えてください。

高校生の時に大学のオープンキャンパスで先生の話を聞いて、医薬品開発に関わる仕事に就きたいと思うようになりました。自分が身につけた知識や技術によって、患者さんの命を救うお手伝いができたら素晴らしいですよね。

もともと有機化学が得意だったこともあり、4年制の薬学部に進学しました。配属された研究室では、数理モデルという数式を使って薬の効果を予測する研究を行っていました。最近では、数理モデルを用いた医薬品開発も行われているようです。その数理モデルを自分で構築し、効果予測を算出することに苦労しましたが、結果が出た時は達成感がありましたね。

研究室の先生は、研究はもちろんのこと、就職についても親身に相談に乗ってくれました。いろいろお話をする中で一番興味を持ったのがCRO(Contract Research Organization:医薬品開発業務受託機関)です。医薬品開発の一端を担う職種であること、研究で培った知識や技能を生かせることが決め手となりました。就職活動もCROを中心に行い、今の会社に入社しました。

CROってどんな仕事なんですか?

新しい医薬品を世に出すには、人に投与してその効果と安全性を確認する臨床試験(治験)を行う必要があります。CROは治験やその後の審査関連業務等を、製薬会社からの依頼を受けて専門に行う機関です。具体的な仕事内容は、治験を実施する計画書や製薬企業への報告書の作成、治験の進行状況の監視、治験データの統計解析など、業務は多岐にわたります。それぞれの業務には担当者がおり、治験を実施している医療機関の医師や看護師といった医療スタッフ、製薬会社の担当者と連携して治験を進めています。

私が担当する統計解析業務は、大きく分けて2つあります。1つは治験薬の有効性や有害事象、副作用の発現率などの安全性を科学的に評価すること、もう1つが市販後の効果・安全性の評価や、新たな価値を検証することなどが主な業務です。

まだ入社1年目なので、現在は統計解析業務に必要なプログラミングの技術を習得しているところですが、担当者からの解析結果の問い合わせにも対応できるように統計学や薬物動態学についてもさらなる研さんが必要だと感じています。

仕事のやりがいについて教えてください。

医薬品の開発に携わっていることです。世の中には病気で苦しんでいる方がまだまだたくさんいらっしゃいます。そんな方たちのために1日でも早く薬が届けられるように一人前になりたいですね。

新薬の有効性や安全性を評価する治験は非常にセンシティブであるため、データを慎重に取り扱わないと異なった結論に至ることがあります。その一方で納期に合わせたスケジューリングも求められますので、責任感を持って仕事に取り組んでいきたいと思います。

この記事を読んでいる大学生・高校生にメッセージをお願いします。

大学は高校に比べて自由な部分が多いため、結果は自分次第というところが顕著に表れます。私自身、研究を通じて自ら率先して行動することの大切さを学ぶことができましたし、研究室の先生も自主性の重要性についてよく話されていました。皆さんもいろいろなことに挑戦して自分に合った職業を見つけてほしいですね。

齊藤 望 (さいとう・のぞむ)

株式会社EPクロア 西日本事業部 西日本レギュラトリーソリューション部 西解析グループ所属
2021年3月横浜薬科大学薬学部薬科学科を卒業、同年4月株式会社EPクロアに入社。入社後は大阪の西日本レギュラトリーソリューション部に配属され、統計解析業務を行う。趣味はサッカー観戦。茨城県出身で鹿島アントラーズのファン。
(白衣姿は学生時代の写真)

(取材実施 2021年9月)

株式会社EPクロア

製薬会社の医薬品開発を支援するCRO(医薬品開発業務委託機関)。 創薬関連業務、開発業務、申請業務、安全性情報管理業務、メディカルサイエンス関連業務、システム開発~運用/ヘルプデスク、労働者派遣など、幅広く製薬会社の支援を行っている。主力である安全性情報管理業務、申請業務の実績は国内屈指。

株式会社EPクロア

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