2025.06.10

【レポート】湘南アイパークフェスタ2025
最先端研究施設で学ぶ・楽しむ・やってみる


5月24日、神奈川県藤沢市にあるイノベーション開発拠点、湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)にて、年に一度の一般公開イベント「湘南アイパークフェスタ2025」が開催されました。昨年は約3500名の来場者を記録した人気サイエンスイベントの第3回目となる今回は「最先端研究施設で学ぶ・楽しむ・やってみる」がテーマ。開幕から閉幕まで終始盛況で、湘南アイパークで働く研究者たちと地域の方々がイベントを通して、楽しく交流する様子がみられました。
「サイエンス学びラボ」編集部は2023年開催の初回から取材を敢行してきましたが、今回も展示やワークショップ、サイエンスショーなど、湘南アイパークの魅力が詰まったイベントの一部をご紹介いたします!
(文・Ayane)



なかなか聞けないトリビアが満載!現役研究者が明かす「薬のトリビア」


毎年恒例の目玉ステージ企画となっている湘南アイパーク現役研究者が明かす「薬のトリビア」ライブトークショー。
今年は普段なかなか知ることができない薬の研究開発についての興味深いトリビア(雑学)をクイズ形式で出題し、参加者たちの回答を交えながら、楽しくお話を聞かせていただきました。


くみちょうさん(マルホ株式会社)

皮膚の痛みやかゆみに関するメカニズムの研究をしている。
関西出身で阪神タイガース大ファン。野球が大好き。

かりんさん(武田薬品工業株式会社)

脳神経の病気の治療薬の作用機序解明の研究をしている。
スイスに留学していたことがある。料理が趣味。

うっちーさん

化学の専門家。ペプチド、DNAの合成も行っている。
幼稚園の頃から「薬の研究者になりたい」と思っていた。子供たちに研究の楽しさを知ってほしい。

とんちゃんさん

CMCという、薬の品質を安定させ、担保する仕事を行っている。
音楽が好きで、クラリネットを演奏している。

ともさん

有機化学の専門家。まだ治療薬が開発されていない薬の研究をしている。
研究所のテニス部に所属し、週3はテニスをする生活を送っている。

「薬をつくるまでの期間はどれだけかかるか?」、「コカ・コーラはもともと薬として開発されていた!何の薬?」など、新鮮な切り口の話題がたくさん飛び出し、もっと聞きたい!となるトークショーでした。親しみやすく楽しい雰囲気で「なんで薬ができたのか?」、「薬を飲みすぎるとどうなるのか?」など、なにげない素朴な質問が会場のあちこちから自然と出てくるのも素晴らしかったです。


講堂で行われるゲストステージショーの他に、施設を横断する広い通路スペース「ブロードウェイ」では、湘南アイパークに拠点を置く計18の企業・大学・団体がサイエンスの体験プログラムや展示を行っていました。


アートと科学が出会うわくわく体験!
慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)
ぺんてる株式会社

「色のひみつ 花作り体験」
身近な色画材を使ったアート作品制作を通じて、ペーパークロマトグラフィーや毛細管現象などの科学を学んでみるクラフトワークショップ。
出来上がった色とりどりのお花がとても美しく、大人から子供まで心躍るアートとサイエンスのコラボが体験できていました。


「乗り物開発ラボ」
あなたの作った乗り物が宇宙を走る!ぺんてるの画材や、いろいろな素材を使って、自由な発想で乗り物を作ってみるワークショップ。
使い終わったペットボトルは「ゴミ」それとも「資材」?実際に手を動かし、作って動かしてみることで培われる視点や経験を「創造的な自信」へ繋げることが目的の本企画。素敵にデコレーションされた乗り物たちを坂から転がし、運動エネルギーを実感する子供たちの様子がとても楽しそうでした。


本ブースの主催者で1人である陳准教授(慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科)も
「湘南アイパークフェスタは、大学と企業がコラボレーションし、市民と交流できる機会を与えてくださる本当に有意義なイベントです」
と語られていました。


湘南アイパーク学生研究発表会~集まれ未来の研究者!


今回のイベントで初開催された高校生・大学生のサイエンス研究発表会!
サイエンス研究に勤しむ高校生・大学生が発表者として登壇し、個人/チームでの研究内容をステージ上でプレゼンテーション。湘南アイパークの研究者たちがアドバイザーとして参加し、発表者たちとの有意義なディスカッションが繰り広げられました。その熱気に惹かれたのか、会場は最初から最後の発表まで終始満席状態。
当サイトでも以前紹介した、横浜薬科大学との共同研究を行った横浜清風高等学校、文京学院大学女子高等学校の発表もありました。
コンテストではないため、研究を志す者と研究者が近い立場で質疑応答ができる貴重な機会でもあり、今後もこのようなイベントが続いていくと良いですね!


企業・大学・地元研究施設からの多種多様な催しが充実!


湘南鎌倉総合病院湘南先端医学研究所 再生医療開発研究部
当院の再生医療紹介+毛細血管観察・痛み感覚測定による未病の理解



こちらは、医療機器を体験できる湘南鎌倉総合病院湘南先端医学研究所のブース。指先の毛細血管の映像をリアルタイムで観察したり、痛みの感度を測って数値化してみたりと、自分の身体と向き合う機会となりました。説明も丁寧で、医療が身近に感じられました。


横浜国立大学×CurioSeeds
“五感“を科学してみよう!
~親子で楽しむ!オリジナル香水づくり~


オリジナル香水づくりを通して、科学研究に必要な過程である「仮説、実験、考察」を体験できる大人気ブース!小学生を中心に行列ができていました。

株式会社BioAid
研究開発とお金



一億円と同じ重さの札束レプリカがとても目立っていた本ブース。バイオ&ヘルスケア領域の研究開発にはどれくらいお金がかかるのか? そのお金はどこから集めてくるのか?という当たり前だけどなかなか知ることができない「研究とお金の話」がとても興味深かったです。

他にも、株式会社ニコンソリューションズ、キリンホールディングス株式会社、武田薬品製薬株式会社など、有名な企業ブースが勢ぞろい!どこの体験ブースも満員御礼状態でした!

美味しいグルメもあります!



広い研究施設内で歩き疲れて、お腹がすいてもご安心を!
研究所内にある素敵なカフェテリアを利用できました。本格PIZZAや鉄板焼きそば、胡椒が効いた大人な風味の唐揚げなど、屋台風のメニューが勢ぞろい!屋外には藤沢市内の人気キッチンカーの出店もあり、台湾料理、フランス風クレープ、ケバブなど多国籍な味を楽しむことが出来ました。


おわりに:科学がひらく地域と未来

今年も、子どもから大人まで幅広い層が参加し、科学に触れ、楽しみ、つながる1日となりました。出展者の熱量や丁寧な解説に、地域と科学の距離が縮まっていることを実感。
未来の研究者がこの場から生まれるかもしれない――そんな予感に満ちたイベントでした。
来年も楽しみです!





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