2021.08.26

医療が注目されている今、文系の生徒も医療薬品系企業・工学系企業に関心を持っています。

【第1回】

横浜清風高等学校 家庭科教諭 
佐々木真由子先生

理系学生の進学・就職について最近の傾向やアドバイスを伺うコーナー。
第1回目は横浜清風高等学校(神奈川県横浜市)の家庭科教諭、佐々木真由子先生にお話を伺いました。

総合的な探究の時間と進路

家庭科の教科担当として、1年次「家庭基礎」の時間に生活設計をテーマに10年後の自分・仕事・生活を考える時間があり、今年度は3年生の総合的な探究の時間に「横浜薬科大学・ウエルシア薬局講演会」を実施することができました。高大連携でご縁のある横浜薬科大学の渡邉泰雄教授がウエルシア薬局の商品開発の監修を行っていることから、その繋がりで実現したものです。ウエルシア薬局は医薬品の扱いだけではなく、日用品・食品関係の商品開発や販売など様々な業務を行っているため、文系・理系を問わず社員が活躍しているとの説明は、生徒が将来の仕事について考える良い機会になりました。「総合的な探究の時間」を活用して、生徒が5年~20年後に「やっていたいこと、やってみたいこと、仕事、自分の生活」を進路探究シートに書くことで、学部・学科を決定する際の参考資料としていきたいと思います。

また同大学で野菜の「パクチー」の健康機能について研究している先生方からは、高校生が調理レシピを考えて、それが健康機能成分を活かせる調理法かどうかをアドバイスする高大連携のご提案を頂き、ぜひ実施してみたいと考えています。

横浜清風高校では、文系を志望する生徒にも1年次からこのような理工学系・医療系の講演会を聴講させています。その影響なのか、理系分野に関心を示す生徒が増えているように感じています。

日頃行っている面談でのアドバイス

1年の時に物理や数学の授業でつまずいた生徒は、理系科目への苦手意識が強いため、安易に文系を選択します。確かに科目の得意・不得意は文理選択の重要な判断材料となりますが、高校での文理選択が将来就きたい職業に大きく関わってきますので、慎重な選択が必要です。生徒には、将来どんな仕事をしたいのかということを考えてから選択するように伝えています。一方で、進学先の卒業時に、国家試験を受験する必要がある場合など、高校での基礎を身につけていないと、授業についていけなくなることがあると伝えています。文系・理系、それぞれ科目の授業時間数も異なります。選択の違いで自分の目指す大学を受験できなかったというようなことのないように指導しています。

三者面談の際、資格を確実に取得できるというイメージが強いのでしょうか、保護者の方から専門学校に関する相談を受けるケースがあります。今まで大学を目指していた生徒も保護者の話を聞いて、迷いが生じるようです。自分の将来像がイメージできている生徒は専門学校に進んでもいいかもしれませんが、イメージできない生徒に対しては専門学校、大学それぞれのメリット、デメリットを伝えて生徒に気づきを与えています。

理系の中で選ばれる学部

薬剤師、看護師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士といったように医療系の学部を目指す生徒も多くいます。やりがいのある仕事をしたいという気持ちがある一方、今後の人生を考えると、理系の中でも資格習得のできる学部は人気があるようです。特に最近は新型コロナウイルス感染症の影響もあるのかもしれません。

高校生へのメッセージ

進路選択の第一歩は文理選択です。文理選択は高校1年生の秋頃には決定する必要があります。早いと思うかもしれませんが、進路については、高校1年次から考えておくとよいでしょう。大学に合格しても学びは続きます。合格したからと言って油断をせず、大学生活に向けてしっかり準備してほしいですね。

今回お話を伺ったのは
横浜清風高等学校 家庭科教諭 佐々木真由子先生

横浜清風高等学校ホームページ

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