理系の進学
2022.09.27
総合型・学校推薦型入試が増える中、受験でも自分の意見や考えを持つことが大事
【第4回】
湘南学院高等学校サイエンス(特進理数)コースリーダー/理科教諭 姉川洋平先生
教務部進路指導係リーダー/数学科教諭 永井亨先生
理系生徒の進学・就職について最近の傾向やアドバイスを伺うコーナー。
第4回は、「サイエンス(特進理数)コース」を開設した湘南学院高等学校の姉川先生と永井先生に、理系の学部学科合格のために今最も大切なことを伺いました。
進路を決める時期について
姉川先生 本校では2022年4月から「サイエンス(特進理数)コース」を開設しました。実験や考察、発表によって科学的な思考力を養う「理数探究」の授業を特色とし、高2から、国公立を目指して5教科を学ぶ「国公立型」と、私立大学を目指しつつより自分の興味を深める「理数探究型」に分かれることになります。
永井先生 そのほかのコースでも、高1の進路適性診断や進路ガイダンスによって自分の学びたいことを絞り、2年生で文系と理系に分かれます。高2の冬休みまでには、大学や学部学科を具体的に選んでおきたいですね。医歯薬系など特定の職業に結びつく学部を目指す生徒は、1年生のうちから目標を決めている傾向も見られます。「4年制の薬学部に行って化粧品の研究がしたい」「漢方が学べるところがいい」など、はっきりした目的を持って学部学科選びをしている生徒もいます。
総合型・学校推薦型入試で求められること
姉川先生 社会で働く理系の研究者にも、チームの中でコミュニケーションを取り、自分の意見を堂々と発表できる能力が求められるようになってきました。総合型選抜、学校推薦型選抜など書類や面接で選考する大学入試は、受験生のそのような力を測ろうとしています。「サイエンスコース」ではまさに、理系の人材に必要な、自分の考えを持って人に伝えることのできる力を育てています。
本校では以前に、大学の研究発表会に参加してプレゼンを行ったグループがあります。総合的な探求の時間を使い、学校の近くを流れる平作川と矢部川の水質を調査しました。
私が生徒たちの研究を見るときに注意しているのは、単なる「調べ学習」ではなく、仮説と実証、結論を含んだ発展性のある研究になっているかどうかということです。大学入試の書類選考や面接でも、理系の学部学科ではそういった点を重視しているかもしれません。
複雑な入試形態を上手に活用するには
永井先生 今は総合型、学校推薦型、一般入試とさまざまな入試のスタイルがあり、どの手段を選ぶのがいいか悩んでしまうこともあるかもしれませんが、自分の希望をかなえるのに最も有利な入試方法を活用してください。例えば模試の点数が悪くても、総合型・学校推薦型入試でアピールできる得意分野があって成績評定がよければ、上位校に受かるチャンスがあります。
将来建築の仕事をしたい人は、建築学科だけでなく、土木や環境デザインの学科を目指すという方法もあります。今住んでいるところの近くに限らず、遠方に目を向けると、思いがけず自分の興味関心に合う大学が見つかることもあります。大学説明会やオープンキャンパスなどさまざまな機会を利用して、やりたいことを実現させるための可能性を探してください。
高校生へのメッセージ
姉川先生 AIやエネルギー、環境など、今の理系の世界で学ぶべきことは、経済や法律など社会の情勢と深く結びついています。目の前のことだけにとらわれてしまうのではなく、世の中に広く目を向け、信念を持ってコツコツと勉強を続けてください。最後まであきらめなければ、必ず報われる時が来ます。
永井先生 総合型・学校推薦型の募集枠は以前よりも大きくなり、これからさらに増えることが予想されます。受験では試験のスキルやテストの成績だけでなく、どんな意見や考えを持った人物であるかということがますます重要になってきます。大学で学びたいこと、またその先に目指したい仕事という将来設計を思い描き、その夢をかなえるために大学入試に臨んでください。
今回お話を伺ったのは
湘南学院高等学校
サイエンス(特進理数)コースリーダー/理科教諭 姉川洋平先生
教務部進路指導係リーダー/数学科教諭 永井亨先生
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