理系の進学
2023.08.29
どんな大人になりたいか想像し、自分の意志で進路を決めよう
【第8回】
横浜学園高等学校入試広報部部長 教頭 河合治久先生
理科主任 教諭 藤田晟那先生
理系生徒の進学・就職について最近の傾向やアドバイスを伺うコーナー。
今回は、横浜学園高等学校(神奈川県横浜市)の河合教頭先生、理科主任の藤田先生から進路を選択するうえでの注意すべきポイントと心構えについてお話をお聞きしました。
最近の理系志望の生徒の進学・進路傾向について
藤田先生 ゲームプログラミングやAI、ロボットの開発などの仕事をしたいという生徒が多く、特に男子生徒は情報系の大学や専門学校を希望する生徒が多い傾向があります。
一方、女子生徒は医療関係の仕事に興味を持っている子が多いですね。スポーツをやっている子は理学療法士になってアスリートをサポートしたい、持病がある子は普段から医療関係者のお世話になっているので、自分も看護師や薬剤師などの医療従事者になって患者さんを支えられる存在になりたい、と考えているようです。
進路について生徒からどんな悩みを相談されますか
藤田先生 私は理科教育を担当しているのですが、受験や進学先での勉強を見据え、物理、化学、生物のどれに力を入れて勉強すればいいのかとよく聞かれます。
また、理系に進まなかったけれど、医療関係の仕事に就くことをあきらめきれない生徒から相談されることもあります。文系の場合、履修科目により希望する大学・専門学校を受験できないことがあるため、まず受験科目の確認をしてもらいます。それがクリアになったら、文系の生徒は理科は化学基礎しか履修していないため、受験を見据え、個別に課題を出し、放課後に学習指導をしています。
最近の高校生の進学や就職に関する考え方は
藤田先生 将来の仕事について、コロナ禍をきっかけに「やりたいこと」「やりたい分野」で決めるのではなく、安定して長く働くためには、手に職をつけたほうがいいのではないか、と思う生徒が多いですね。
河合先生 良くも悪くも最近の生徒はクールですね。進路選びについては、一人暮らしだとお金がかかるため、自宅から通学できるのか、自宅から学校までの通学費や学費などを気にしています。さらに進路先でどの資格が取得できるのかということもパンフレットを見てチェックしています。私としては、もう少し視野を広げて進路を決めてほしいと考えています。
進路選択について
藤田先生 高校受験とは異なり、理系の場合、大学・専門学校に進めば、職業がほぼ絞られますので、進路を決める際は職業のことをきちんと理解してから進路活動に取り組むことが望ましいのですが、そこまでできる生徒はあまり多くありません。まずは、1年生のうちから自分がどんな大人になりたいかを想像することから考え始めるのがよいでしょう。
河合先生 最終的に自分で進路を決めてほしいですね。保護者や教員が勧めたところに行ってしまうと、進路先でつまずいた際、保護者や教員に責任転嫁して、自分が思い描いていた学生生活が送れなくなるからです。後悔しないためにも、進路活動は真剣に取り組むべきです。
情報収集のコツを教えてください
藤田先生 学校で実施している進路行事に積極的に参加することです。例えば本校では、大学・専門学校の方をお招きして「分野別進路ガイダンス」や「学校別相談会」といったものを開催しています。担任の先生や進路指導の先生だけでなく、いろいろな立場の人から情報を得ることで、新たな発見が生まれ、自分に合った進路を見つけることにもつながります。
河合先生 スマホやパソコンで検索すれば、ある程度大学・専門学校のことは理解できるかもしれません。しかし本当の姿を知るためには、オープンキャンパスに参加して、学校の雰囲気や先生の人柄などを自分の目で見て感じ取ることが必要だと思います。
高校生へ向けたメッセージ
藤田先生 皆さんの可能性は無限大に広がっています。失敗を恐れずに、さまざまなことにチャレンジして、自分がやりたいこと、得意なことや長所を見つけて、自分に合った進路を見つけてほしいと思います。
今回お話を伺ったのは
横浜学園高等学校
入試広報部部長 教頭 河合治久先生
理科主任 教諭 藤田晟那先生
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