2021.09.02

病気で苦しんでいる人を救うには色々な方法がある。
薬の開発を通じて社会に貢献したい

【第3回】

柴田駆さんShibata Kakeru

薬学/サイエンスって何を学ぶの? 日々研究に打ち込む学生に話を聞いてみました。

柴田さんが取り組んでいる研究テーマについて教えてください。

体内でつくられる活性酸素はがんや老化の原因となる物質であることがわかっています。活性酸素は生物が生きているうえでつくられる物質ですが、そのほとんどがスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の働きで無毒化されます。しかし一部はそこから逃れDNAの塩基を酸化してしまいますが、8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼ(OGG)というタンパク質によって酸化塩基は取り除かれます。SODやOGGは一定の条件で発現し、活性酸素に作用します。どのような条件で発現するのかを遺伝子レベルで解明することで、がんや老化に関わる薬の開発につなげていきたいと思っています。

研究が面白いと感じるのはどんなところですか?

新しいことがわかったうえで、その新しいことのメカニズムを解明すること。発見と解明の繰り返し、それによって新しいものの開発へつなげる、それが研究の醍醐味だと思います。実験結果には必ず論理があります。その論理を明らかにすることも魅力の一つです。

科学に興味を持ったきっかけは?

親が医療人だったので、その姿を見て医療の分野で仕事をしたいと思っていました。高校生の時に生物の授業で生き物の発生やメカニズムなどに興味を抱くようになりました。それがきっかけでサイエンスが好きになました。
私が携わっている基礎研究は医療の発展に欠かせないものです。医療の仕事と言えば、臨床現場を真っ先に思い浮かべる人が多いと思いますが、薬の開発を通じて社会に貢献したいと思ったのです。

科学を志す学生へメッセージをお願いします。

超高齢社会が進む中、医療の重要性はますます大きくなっています。病気で苦しんでいる人たちを救うためには薬が必要で、薬を開発するには基礎研究が必要になります。
薬学を学ぶことは、薬剤師になること以外にも患者さんの命を救う道が開けます。科学で医療に貢献したいと考えている人は薬学部も選択肢に考えてみて下さい。

柴田駆(しばた・かける)

横浜薬科大学 大学院薬学研究科1年(修士課程1年)
研究テーマ:活性酸素を無毒化するタンパク質遺伝子の作用機序を解明し、発がんや老化機構を明らかにすることを目指す。
趣味はバイクのツーリング

(取材実施 2021年7月)

この記事をシェア!

▲