2023.09.26

理系の学問は2割を学校で教わり、残り8割は自分で学習して身に付けていくもの

【第9回】

向上高等学校
教諭 駒野隆宏先生

理系高校生の進学・就職について最近の傾向やアドバイスを伺うこのコーナー。
今回は向上高等学校(神奈川県伊勢原市)で理科主任を務める駒野隆宏先生にお話をお聞きしました。

進路の傾向について教えてください

本校では、希望進路に応じた学習カリキュラムにより特進コース、選抜コース、文理コースの3つのコースを設定しています。コースによって進路の傾向は異なりますが、私が担任をしている特進コースに限って言えば、将来就く仕事を決めてから進路を決めており、特に女子生徒は看護や薬学関係の希望者が多いです。

理系の場合、就職のことまで考えて大学を選んでほしいと日頃から指導していることから、どこでもいいという生徒は少ないですね。
最近では情報系の学部の人気が高いですが、単に「情報」というワードで大学を決めるのではなく、例えば、「データの分析や解析を行うデータサイエンスが学べるところ」というふうに、かなり絞って進路先を探してくる生徒が多くなっています。

進路についてどんなことを伝えていますか

文系の場合、弁護士や公認会計士といった専門性が必要とされる職業でなければ、どの学部学科に行っても就職活動の際、職業を選択することができますが、理系に関しては大学の進路が職業に直結する傾向が大きいため、将来のことを見据えて進路を選ぶように指導しています。やりたい仕事が見つかれば、自分が就職したいところに大学のOB、OGがどれくらい就職しているのかを調べることも一つの方法です。

オープンキャンパスに参加することも重要です。実際に足を運ぶことでその大学の雰囲気や学生の様子などを見ることができるからです。そのため本校では1年次から学校行事として「キャンパス探検隊」を実施しています。1年生の秋には、希望する進路に合った大学を訪問し、大学の説明を受けます。2年生以降は、「総合的な探究の時間」の一環で、オープンキャンパスに参加した時のことをレポートにまとめてもらっています。

オープンキャンパスで見るべきポイントを教えてください

研究室に行って研究内容を理解するのは難しいと思いますが、研究テーマを見れば、学部学科が同じ名称でも大学ごとに専門分野の違いを知ることができます。そこでやりたいテーマを見つけるのもいいでしょうし、自分が思い描いている学びが実現できるかどうか確認できる機会にもなるでしょう。

オープンキャンパスで受けた化学の先生の説明が面白かったので、建築から化学に進路を変えた、という生徒もいました。

なかなか進路が決まらないという声を耳にしますが、アドバイスをお願いします

やりたいことを探しても見つからない場合は、逆に何がしたくないか、苦手なことは何かというところから考えていくといいでしょう。そうすると、興味はあるけれど、仕事としてずっとやっていけるかどうか自信がないといったことが見えてきて、ある程度絞れてきます。

高校生に向けたメッセージ

「習っていない」「教えてもらっていない」という生徒がいますが、学校で学んだ以外のことを自分で勉強する、それが本当の勉強だと思います。特に理系の生徒はそういった考えを持たないと力が伸びません。理系の場合、2割の基礎や応用につながる部分を学校で教わり、残りの8割は自分で身につけていく学問なのです。専門書の内容を自分の言葉で解釈し、まとめる力、必要な情報をそこから読み取る力が必要になってきます。問題集を解いて一喜一憂するのではなく、日頃からまとめ学習をすると、自然とその力が身につきます。理系に進むのであれば、勉強に取り組む姿勢として、教えてもらっているだけではいけません。自分から積極的に知識を取り入れていくような姿勢が必要です。この力は大学に進学してからも必ず生きてきます。

今回お話を伺ったのは
向上高等学校
教諭 駒野隆宏先生

向上高等学校ホームページ

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