2022.02.22

学校の成績評価では測れない、自分の価値を見出すことができるのが研究の魅力

【第9回】

梅沢岬さんUmezawa Misaki

薬学/サイエンスって何を学ぶの? 日々研究に打ち込む学生に話を聞いてみました。

梅沢さんが取り組んでいる研究テーマについて教えてください。

私が研究しているのは「新しい光反応手法の開発」です。現在、ほとんどの化学反応にはフラスコなどを使う「バッチ合成法」が用いられていますが、私は、細いチューブ中で溶液を流しながら反応させる「フロー合成法」に取り組んでいます。バッチ合成法による光反応では、フラスコに光を照射するため、容器の中心部まで光エネルギーが到達しません。一方、フロー合成法では反応溶液の体積あたりの表面積が増えるので、光エネルギーを効率よく与えることができます。

フロー合成法の活用は社会的にどのようなメリットがあるのですか?

まず、反応容器の表面積が大きく、熱交換の効率が高いことから、反応温度がコントロールしやすく、バッチ合成法に比べ安全性が向上します。バッチ合成法では、スケールアップしたときに反応の最適条件が異なることが多いのですが、フロー合成法では装置の数を増やすだけなので、高い再現性で大量生産が可能になります。

研究ではどんなところに面白さを感じていますか?

学会で研究成果を発表し、様々な人と交流しながら、いただいたアドバイスを次の学会までに反映させて研究をブラッシュアップできるのが、面白さの1つですね。

科学や薬学に興味を持ったきっかけを教えてください。

小さい頃は病弱で、薬が身近な存在でした。そのうち、薬の知識を身に付けたいと思うようになり、中学生の頃から薬学部に進学し、薬学の研究に携わりたいと考えるようになりました。

研究の道を志す高校生へメッセージをお願いします。

研究者を目指すために必要なのは高い学力ではなく、やる気です。やる気と努力でいくらでも伸びることができるのが研究の魅力の一つだと思っています。研究は、教科書に載っていない、誰も知らない新事実を見出すことが目的であり、それを可能にできるかどうかは偏差値や成績では測れません。学校での評価以外に自分の価値を見出したいという人は、研究の道に踏み込んでみてはいかがでしょうか。

梅沢岬(うめざわ・みさき)

横浜薬科大学大学院 薬科学専攻 博士後期課程1年
趣味はツーリングとボウリング

(取材実施 2021年5月)

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