コラム
2026.01.08
3年目を迎えさらに充実 高校生ディスカッションイベント「かながわ・ゆめ・みらい2025」開催レポート


12月14日、主に神奈川県内の私立高校の生徒たちが主催したディスカッションイベント「かながわ・ゆめ・みらい2025」が、湘南学院高等学校(神奈川県横須賀市)を会場に開催されました。
このイベントは生徒たちがそれぞれ議題となるテーマを設定し、自身で調べた研究成果を発表したうえで、来場した一般の市民の方々とともに議論するというプログラムです。ディスカッションにはオブザーバーとして大学教員や各分野からの企業の専門家なども参加し、有識者としてのコメントやサポートを行いました。
参加高校も10校と昨年よりも増え、一つのセッションを他校の生徒グループと合同で運営することでコミュニケーションを図ることにもつながっていました。
ディスカッションのセッション数も一日かかりで全71セッション。制限時間40分のなかで、各教室で同時に20近いセッションが行われました。
テーマも様々で、医療・健康、福祉、環境問題、教育、コミュニケーション、街づくりまで、生徒それぞれが関心を持った社会問題や課題を題材に選ばれました。
今回、その中からほんの一部ですが、ライフサイエンス寄りのテーマで行われたセッションを紹介します。
【参加高校】
関東学院六浦高等学校/自由学園/湘南学院高等学校/湘南工科大学付属高等学校/湘南白百合学園高等学校/
鶴見大学附属高等学校/三浦学苑高等学校/緑ヶ丘女子高等学校/横須賀学院高等学校/横浜隼人高等学校
会場となった湘南学院高等学校
緑ヶ丘女子高等学校「子どもが飲みやすい薬って?(医薬品添加物について)」
お菓子のパッケージの裏の成分表示を見て、使われている食品添加物の多さを知り、医薬品に使われている添加物にも関心を持ったことが、緑ヶ丘女子高校の生徒によるテーマ設定のきっかけ。添加物によって味の不味さをマスキングする技術があることから、実際にお菓子と薬を混ぜて味を変える実験まで行いました。ディスカッションでは子どもが飲みやすい薬をつくる方法や工夫について話し合いました。
湘南白百合学園高等学校「矯正歯科と人々の生活の質を高める歯科医療」
昭和医科大学歯学部の大学教員、歯科医師をゲスト講師に招いておこなわれたこのセッションでは、現代の日本の歯科検診制度の問題点と矯正の大切さについてのレクチャーが行われたうえで、参加した生徒からの質疑応答も行われました。吹奏楽のホルンはマウスピースが小さく歯並びが悪くなりやすい、ワイヤー矯正が痛むのはなぜ?等々の個人的な悩み相談に専門家からアドバイスを受ける一幕も。
自由学園「プラスチックを分解する菌を見つけたい」
現在プラスチックごみのリサイクルの大半がサーマルリサイクルであり、CO2や有毒物質の排出も伴い、またマイクロプラスチックが海洋環境を汚染し生態系にも深刻な影響を及ぼしている。このセッションでは横浜薬科大学の川嶋剛教授もサポートとして参加し、プラスチックの「分解菌」を発見して活用することへの可能性について考える場となりました。(ファシリテーターは今回オンラインで参加)


湘南学院高等学校「漢方の周知」
横浜薬科大学の五十鈴川教授や漢方薬メーカーのツムラ社員から漢方の魅力について教えを受け、その魅力に気づいた生徒たちが、漢方に関する知識を面白く習得するための方法としてカードゲームを考案。実際に試作したものを使って参加者とプレイしました。ゲームは二種類作られ、一つは成分や効能が同じものを合わせる「神経衰弱」。もう一つは漢方生薬の効果やスペックで競い合うカードバトル形式。デザインも含めてかなりの完成度です。


横浜隼人高等学校「スパイスと健康」
国民食としてみんなが大好きなカレー。カレーに使われているスパイスには健康に良い成分が含まれている。このセッションでは日常の食事から健康づくりを心掛けることを考えることを目的として、理想的なカレーの作り方、食べ方、健康になるためのカレーのあり方について意見を出し合うセッションとなりました。
湘南工科大学附属高等学校「病児保育について」
働きながら低年齢の子育てをしている親世代にとって、子どもが病気になると幼稚園・保育園に預けることができず、仕事に出られなかったり業務に支障をきたすなど、幼児福祉の問題となっている。この問題に着目した生徒たちは、自治体が行っている病児保育について調べ、その周知を広めるための活動を始めました。セッションに参加していた平塚市役所の職員もこの取り組みに感謝し、市民にもこの制度をもっと知ってもらい、ぜひ活用してほしいと訴えました。
三浦学苑高等学校「安楽死 医療倫理と法的倫理」
「安楽死」をテーマに生命倫理に踏み込んで考えるこのセッションでは、いまの日本の医療における安楽死の現状と、医療倫理と法的倫理からの安楽死の利点と課題についてファシリテーターが解説し、その後、その是非について参加者同士が議論しました。重いテーマでありながらも、参加者が自分なりの正解を求めて話し合う場となりました。
関東学院六浦高等学校「起業体験ワークショップ」
ボランティアサークルを立ち上げて運営している経験を持つ高校1年の生徒がファシリテーターとなって進行、高校生や社会人も交えたグループディスカッションを通じてボランティアを軸とする事業アイデアなどを出し合いました。


湘南工科大学附属高等学校「新規と古参の溝」
ファンコミュニティーで起こりうる「古参」と「新規」の間に生じる溝がコミュニティの軋轢を生むだけでなくアーティストにも悪影響を及ぼすことを問題視。なんとか共存していく方法についてディスカッションが行われました。参加者からも実体験を元にしたエピソードや知見が活発に発表され、組織とコミュニケーションのあり方について深く考える機会となりました。
ほんの一部のみで紹介しきれませんが、ほかにも、社会や経済分野、地域環境などの問題提起もテーマとして繰り広げられ、生徒の皆さんが真剣に学んだ成果を伺うことができました。また発表の仕方や進行にもそれぞれ個性が見られ、工夫を凝らした様子がうかがえました。
「かながわ・ゆめ・みらい」の魅力は、高校生の学びが起点となり、大人も子どもも巻き込んで、地域や世界をより良い形にしようとする共通の思いでのコミュニケーションが生まれていること。参加した生徒たちも他校の生徒たちと議論し、刺激しあった経験を通じて確実に成長に繋がったはずです。
過去の開催レポートはこちら






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