2021.10.07

医薬品を安全に届けるために緊張感とともにやり甲斐をもって仕事をしています

【第4回】

シオノケミカル株式会社 
高橋 伸明さんTakahashi Nobuaki

製薬メーカーに勤める高橋さんにお話を伺いました。

現在の仕事を選んだきっかけを教えてください。

もともとエンジニア系の仕事をしたいと考えていたのですが、リーマンショックが起こり、比較的需要が安定している医療系の道に進もうと決意し、薬学部に進学しました。初めは薬剤師になるために、6年制の薬学部に入学しましたが、学んでいくうちに化学試験や分析することが自分には合っているのではないかと考えるようになりました。いろいろ調べると、医薬品や食品などの商品を消費者の手元まで安全に届けるために不可欠な品質管理業務があると知り、それを学ぶために4年制の薬学部に再入学しました。大学では、白内障の進行を止めるための点眼液に関する研究をしていました。実験法や分析機器の使い方、論理的に物事を考えることなど、今でも仕事に活かされていますね。

品質管理業務を行っている業種は医薬品や食品、化粧品などさまざまありますが、薬学部で学んだことを活かしたいと思い、卒業後は製薬会社に入社しました。

仕事の内容を教えてください。

入社後は、研究部に配属され、厚生労働省に提出する資料を作成するためのデータを収集していました。

今年からは薬事管理課に異動しました。弊社は医薬品の製造の他に、医薬品を製造するための原材料である原薬(一般的には有効成分のことを指す)を海外から輸入して国内の製薬会社に販売する業務を行っています。私は、原薬の品質規格等に関して、海外企業との取り決めを締結する書類作成や、国内の取引先や県薬務課からの監査の対応等を行っています。

取り決めの内容は、製造方法や試験検査方法、運搬および受け渡し時の品質管理方法など多岐にわたります。製品品質に影響を及ぼすものについては、製造管理および品質管理の方法に関して、製造業者と文書により必要な取り決めを締結することが省令等で定められています。また、国内の取引先や県薬務課から監査がある場合は、その対応に必要な書類も作成しています。

品質管理業務や海外からの原薬調達は思った以上にシビアな仕事なのですね。

私たちは法律や省令等にのっとって品質管理や原薬を調達しています。一見地味な業務に見えますが、一つの見落としが重大な事故につながるので、緊張感の高い業務であると同時にやりがいも感じています。

海外企業との取り引きで語学はどのレベルまで必要ですか。

海外の製造所との交渉等は貿易部が行っているので、そこまで英語は必要とされているわけではありませんが、海外企業との取り決め書は、英語で記載されていますので、論文が読める程度の英語力は必要だと思います。

職場環境について教えてください。

女性が多い部署なのですが、産休や育児休暇制度がしっかりと整備されているので、出産後もキャリアを継続される方が多いようです。シビアな業務に携わっているので、経験豊富な先輩がいるのは心強いですね。

学生に向けてメッセージをお願いします。

一つのことを突き詰めていくことは大切なことですが、それが立ち行かなくなると、心が折れてしまうことがあります。いい意味で「広く浅く」さまざまなことを経験していろいろな視点を身につけてほしいですね。

高橋 伸明 (たかはし・のぶあき)

シオノケミカル株式会社 生産本部 高崎工場 薬事管理課所属
2019年横浜薬科大学 薬学部薬科学科を卒業後、シオノケミカル株式会社に入社。入社後は研究部に配属され、医薬品管理を担当し理化学試験などを行う。現在は薬事管理課で原薬輸入調達に関する業務に従事する。趣味は鉄道の旅。

(取材実施 2021年8月)

シオノケミカル株式会社

1978年設立。医薬品の原薬・中間体などの輸入・販売で創業し、1988年より医薬品の自社製造を開始。現在ではジェネリック医薬品を中心にOTC医薬品まで、製品開発・商品企画・企業間コーディネートを手掛ける製薬メーカー。生産拠点は群馬県藤岡市にあり、今回の取材も高崎工場で行いました。

シオノケミカル株式会社

この記事をシェア!

▲