2022.04.26

生徒の目線で一緒に考え可能性を引き出す「パートナー」のような存在でありたい

【第8回】

学校法人角川ドワンゴ学園 N/S高等学校 
石塚 尚輝さんIshizuka Naoki

N/S高等学校で教員として働く、石塚さんにお話を伺いました。

N高等学校・S高等学校(以下、N/S高)はどのような学校ですか?

「ネットの高校」であるN/S高ですが、現在はネットコースに加えて、キャンパスに通いながら学ぶ通学コースなど4コースあり、私は通学コースの横浜キャンパスで教員をしています。通学コースの大きな特徴は「プロジェクトN」。高校生が社会に出て活躍するための知識やスキルを身に付ける課題解決型学習プログラムで、さまざまな企業や官公庁などに協力いただいています。生徒はグループワーク中心に企画や作品を作り上げます。昨年の6月にはAI と予防医学を掛け合わせた商品を作るプロジェクトを行い、私は大学で学んだ医療系の知識を活かして生徒をサポートしました。

仕事の内容を教えてください。

約50人の生徒を担当しています。「プロジェクトN」の進行やサポート、希望者対象で行う受験科目(理科)の解説、生徒と一対一で話すコーチング面談などが主な業務です。面談では「この大学がいいよ!」と教えるのではなく、「大学に行ってどんな分野を学びたい?」「どうなりたい?」と聞き出して、生徒の進路を明確にすることを意識しています

教員の道を選んだきっかけを教えてください。

実は私は中学生の頃まで「先生」が苦手でした。ですが高校受験のとき、家が近いという理由だけで受験先を選んでいた私に、「若いうちは夢を高く持った方が成長できる」「お前はそんなレベルに収まるような人間じゃない」と声をかけてくれた先生がいて、かっこいいなと思ったんです。また、高校の部活で少林寺拳法にうちこみ、卒業後もインストラクターをやっていたのですが、そこで教える楽しさに気づいたこともきっかけの一つです。

仕事の一番のやりがいは何ですか?

教員と生徒が一対一で話す機会が多いことがやりがいにつながっています。一つは、理科の楽しさを丁寧に伝えられるところです。理科を難しいと感じる原因として、事象をイメージしづらいことがあると思うので、「この化合物、実はいつもみんなが飲んでいる薬に使われているよ」と小ネタを挟んだりして、普段の生活と結びつける工夫をしています。もう一つは、理科や薬学は、医療や研究の道に進まないとしても社会で役立つスキルになることを、自身の経験を踏まえながら伝えられるところです。

大学ではなぜ薬学部を選んだのですか?

高校1年生のときはパティシエを夢見ていましたが、専門学校への進学に先生があまりいい顔をせず、一旦その夢は保留となりました。2年生からは進路のことを悩む時間がないほど部活に打ち込みました。母が看護師だったので医療系には親しみがあり、さらに自分がかなり重症の花粉症だったことから「アレルギーを根治できる薬を作りたい」と考えて4年制の薬学部に進学しました。

大学で学んだことは、仕事にどう役立っていますか?

1、2年生で基礎を学び、3年生で創薬を研究するゼミに入り、薬をより安全に大量生産する手法の開発を卒論のテーマに選びました。新規性のある研究だっただけに、何が正解か分からず、全てが手探りの2年間でした。結果的に「とにかく前向きに、この道で行こうと突き進める力」が身に付いたと感じていて、それは仕事でも非常に役立っています。私は最近、「いい大学に行くことがゴールではなく、行った大学でどう動くかが大事」だと考えています。大学を選ぶときは、カリキュラムをよく見て、本当に自分が学びたいことを学べるかを精査してほしいです。

自分に合う仕事を見つけるにはどうしたらいいですか?

方法はいくつかあります。私の場合は、何事にも興味を向けて、いったん調べてみる方法でした。それから、今後その仕事が機械化されないかという視点も重要です。
「ゲームが好き」ということからでも、ゲーム配信者、プロプレイヤー、開発者などさまざまな道が広がってくるので、自分の好きなことや興味・関心を尊重してほしいです。今の日本であれば、やりたいことを実現できる場所が絶対にあります。後悔のない道をじっくり探してください。

石塚尚輝(いしづか・なおき)

学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校・S高等学校
通学コース運営統括局運営部キャンパス2課横浜キャンパス 教員

横浜薬科大学薬学部薬科学科で高校と中学の理科の教員免許を取得。2020年に卒業後、N高等学校通学コースの横浜キャンパスに教員として勤務、50人の生徒の担任として、理科の解説、グループワークのファシリテートなどを幅広く担当。趣味は猫と遊ぶこと、気ままな一人旅

(取材実施:2022年3月)

学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校・S高等学校

ネットと通信制高校の制度を活用し、通学コースなども併設した教育を行う高等学校。生徒数は両校合わせて21,409名を数える(2021年12月現在)。各界トップランナーの特別講義やプロジェクト授業をはじめ、将来的に実社会で活かせる学びを得られる多彩なカリキュラムが特徴。

学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校・S高等学校

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