2021.12.24

ゴールが同じでも一本道ではない。
いろいろ試しながら答えを探していくことに研究の楽しさがある。

【第7回】

大賀翔平さんOga Shohei

薬学/サイエンスって何を学ぶの? 日々研究に打ち込む学生に話を聞いてみました。

取り組んでいる研究テーマについて教えてください。

私の研究テーマは「水晶体中のデスモソームと結合する中間経フィラメント」というものです。聞き慣れない言葉かもしれません。水晶体という眼の中でレンズの役割を担っている器官に関する研究です。
水晶体についてはまだ解明されていないことが多く、研究室の先輩たちが行ってきた実験などでは、これまでは存在しないと言われてきた細胞が「おそらくは存在するのではないか」という段階まで分かってきました。 しかし、サイエンスの世界は「おそらく」では意味がないので、それを確実のものにするために日々研究を行っています。

その研究はどのような形で社会に役立てられるのですか?

水晶体が濁ってしまうと白内障という病気になってしまいます。解析を進めていくことによって、白内障の治療薬開発のヒントになればと考えています。

研究で面白いと感じるところはどんなところですか?

試行錯誤できる部分が多いことが、研究の面白さの一つだと思います。うまくいかなかった場合は自分のやり方のどこが間違っているのかとか、方法や薬品を変えたら進められるんじゃないかとか、自分で考える余地がたくさんあります。
実験が成功する方法は一つではないし、ゴールが同じでも一本道ではなく様々なルートがあります。自分で考え、いろいろ試しながら答えを探していく、そこに研究の楽しさがあると思っています。

将来はどんな職業につきたいと考えていますか?

研究職に就きたいと考えていますが、漢方薬局での仕事にも興味を持っています。
現在はインフルエンザ治療にも使われるなど、漢方薬は私たちにとって身近な薬になってきています。
西洋医学では病気によって薬が決まっているのに対して、東洋医学は症状や体の状態など総合的に診て処方を決めるため、より個人に合った薬物治療ができると考えています。様々な可能性を探りながら適切な処方を決めていくという意味では、研究で感じた楽しさと通じる部分があるかもしれません。

最後に科学を志す学生へメッセージをお願いします。

私自身、高校時代は進路や将来のことなどは特に決まっていませんでしたし、そういう人も多いと思います。やりたいことがないからと悩むよりも、楽しかった経験や興味があることを思い出してみてほしいですね。
理科や科学の実験で楽しかったと感じたことがある人は、一つの選択肢として考えてみるのもいいのではないでしょうか。

大賀 翔平(おおが・しょうへい)

横浜薬科大学大学院 修士課程1年 臨床薬理学研究室
研究テーマ:水晶体中のデスモソームと結合する中間経フィラメント
趣味:映画やゲームなども好きですが、昔は考古学者になりたかったこともあって、遺跡などのドキュメンタリーを観るのも好きです。

(取材実施 2021年10月)

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