2024.01.30

体験と出会いが人を成長させる

【第10回】

新渡戸文化中学校・高等学校
教諭 教育デザイナー 蓮沼一美先生

理系高校生の進学・就職について最近の傾向やアドバイスを伺うこのコーナー。
今回は新渡戸文化中学校・高等学校(東京都中野区)の蓮沼一美先生にお話をお聞きしました。蓮沼先生は日本科学未来館で科学コミュニケーターを務めていたご経験もあります。

進路を決める際、どんなことを考えたらいいでしょうか

自分が好きなこと、得意なことは何なのかを見つめ直し、そして将来、自分がどんなことをしたいのか、どんな大人になりたいのか、ということを考えることが大事でしょう。それが決まれば、実現するために何をすればいいのか、何が足りないのかがおのずと見えてきます。
本校では、自分の「好き・得意」を社会課題に結び付ける「授業やクロスカリキュラム」を用意しています。毎週水曜日、高校1・2年生を対象に、大学の先生や大学生、企業の方を招きワークショップや壁打ちなどを実施して自分の課題を見つけ深掘りし、月1回程度企業等に訪問して課題を解決するための取材を行います。
そうは言っても初めのうちはなかなか難しいもの。教員が事例を紹介したり、先輩がアドバイスをしたりしていくうちに、「○○について挑戦したい」という思いが芽生え、自分のやりたいプロジェクトを立ち上げられるようになってきます。

生徒は具体的にどんなことに挑戦していますか

ある卒業生はもともと理科が好きだったのですが、授業やクロスカリキュラムを通じて、地球環境について興味を抱くようになりました。そして高校2年の時に、世界の植生について調査し、20年間の地球の植生の変化についてまとめました。高校3年生の時に東京都檜原村でフィールドワークを行い、森林の植生について調査したところ、植生の変化には大規模伐採等の人為的な影響が強いことを明らかにしました。さらにほかの地域も調査するために、本校で用意しているスタディツアーというイベントを利用して三重県の林業で働いている人にお話を伺い、日本の環境の現状について理解を深めました。そこでは、環境保全に配慮しながら林業を継続していくことは可能だが、いまの状態では難しいという現実に直面したことで、将来、林業や環境行政の仕事に携わりたいという思いが募り、最終的には農業系の大学へ進学しました。
さまざまなことに触れて、出会い、自分自身で考えるのが、クロスカリキュラムの大きな特徴です。人との出会いと体験が、生徒を成長させていると思います。私たちは、生徒のやりたいことを企業や大学などにつなげているだけで、あとは生徒自身が自ら考え行動しています。

高校生へのメッセージ

短い高校生活ですが、学校外で行われているイベント等に参加するなど、外に目を向けていろいろなことに迷わず挑戦してほしいと思います。本校では、多種多様な体験を通して100人を超える大人との出会いを提供しています。いろいろな立場の大人と話すことで今までになかった価値観を知ることにつながり、そこからやりたいことが見つかることも少なくありません。
それから自分の考えをプレゼンする力も身につけてほしいと思います。本校では1年間の学びの集大成としてスタディフェスタを開催し、ポスターやステージ発表など、1年間の学びをさまざまな形で表現する場を用意しています。そこで身につけた力は社会に出たら、きっと役に立つはずです。

今回お話を伺ったのは
新渡戸文化中学校・高等学校
教諭 教育デザイナー 蓮沼一美先生

新渡戸文化学園ホームページ

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