2024.09.20

ハマヤクサイエンス研究会第3回学術発表会開催
発表レポート【物理系】

物理系の発表演題は6題ありました。

研究タイトル「コイルトレイン」

神奈川県立川崎北高校 科学部
高木修汰さん、福士柚月さん、久保田育未さん、辻本裕大さん、中垣太吾さん

動画で乾電池の両端に磁石を付けた物が銅線コイル内を高速で移動する様子に興味を持ち、コイルトレインをスムーズに動かし、速度を向上させることを本研究の目的として、条件検討を行いました。銅線を試験管に巻き付けてコイルを作り、単4電池の両端に反発する極でネオジム磁石を取り付け、コイル内の通過時間を測定しました。実験の結果、磁石の個数が増えると加速度が大きくなることがわかりました。予測値より測定値が大きくなったのは、初速度が0でなかったためと考えられます。

PF-01

研究タイトル「離岸堤の開口部に津波が集中した現象の検証」優秀賞

兵庫県立神戸高等学校
田中遥夏さん、藤林紫苑さん、濵野晃吉さん、松尾幸太郎さん、森嶋理人さん

朝日新聞デジタルの記事「消波ブロック、津波には逆効果 切れ目に集中、堤防決壊」には有効な対策や原因の究明が記述されていませんでした。そこで、現象が実際に起こりうるのか、またその条件を検証することにしました。相似則に基づいた水槽実験と流体解析ソフトによるコンピュータシミュレーションを行いましたが、いずれの方法でも現象を確認することはできませんでした。結果として、一般的な地形ではこの現象が起こりにくいことが分かりました。今後は相馬市の気象や地形などを考慮して研究を進めたいと考えています。

優秀賞おめでとうございます
水槽を使用した予備実験、そして流体解析ソフトを使ったコンピュータシュミレーションと物理的かつ数理的なアプローチがなされた聞きごたえのある素晴らしい発表でした。本研究が現象解明の糸口になることを応援しております!(編集部より)

PF-02

研究タイトル「竹繊維を利用した破断しにくいコンクリートの作製」

東京都立多摩科学技術高等学校
出水克明さん、大門姫依さん、下村優翔さん

本研究では、竹の新たな利用法として、竹繊維をコンクリートに混合し、柔軟性と耐破断性を高めることを目的としました。竹繊維を抽出し、異なる状態でコンクリートに混合して三点曲げ試験を行いました。湿潤状態の竹繊維を混合したコンクリートは、混合していないものよりも破断点でのひずみが大きく、短い竹繊維の方が効果的でした。一方、乾燥状態の竹繊維を混合した場合は強度が低下しました。これらの結果から、湿潤状態の竹繊維がコンクリートの耐久性向上に寄与することが示唆されました。

PF-03

研究タイトル「熱音響現象の実用化を目指して」優秀賞

広島大学附属高等学校
入澤瑠星さん、網岡和希さん、加藤弘起さん、小井手寛大さん、穴迫祐さん、桐原啓さん

エネルギー問題への貢献を目指し、熱音響現象に注目して試験管を用い、空気振動を発生させる最適な条件を調査しました。実験ではスチールウール両端の温度を測定し、温度勾配が6.72[K/mm]で振動が開始し、13.5[K/mm]で最大音圧を確認しました。この結果から、振動発生には「温度差」よりも「温度勾配」が重要であることが明らかになりました。また、外燃機構と内燃機構で比較実験を行い、内燃機構の方が効率が良いということがわかりました。今後は試験管の長さを変化させるなど、さらなる条件の検討を進めます。

優秀賞おめでとうございます
「熱音響現象」に着目した研究で、熱源に電熱線を使用工夫も見られ、将来的に工場の排熱といった利用されていないエネルギーを有効化することにもつながる大注目な研究でした。続報を楽しみにしています!(編集部より)

PF-04

研究タイトル「水晶を用いた発電装置の試作」

神奈川総合産業高等学校
佐藤諒弥さん

地震などの振動や衝撃から発電を可能とする圧電効果に着目し、水晶を用いた発電機の制作を目指しました。まず、圧電効果による効率的な発電方法を探り、水晶の体積の違いによる発電量の変化を調べる実験を行いました。実験の結果、水晶に与える衝撃に比例して発電量が増加することが確認されましたが、水晶の体積には比例しているわけではないということがわかりました。水晶では小さな衝撃でも発電することができることが確認できましたが、地震を利用した発電という点ではコストの面で実用化は難しいと考えられます。

PF-05

研究タイトル「マスクでモルタルを最強に! ~使い捨て不織布マスクを用いたモルタルの開発~」

山脇学園高等学校 2年 サイエンスクラス
渡邉凛さん

プラスチック混和モルタルの強度試験において、繊維質添加材の影響を調査するため、不織布マスクを使用してモルタルを製作し、繊維が強度に与える影響を検討しました。実験では、綿やポリエステル、ナイロンなどを添加したモルタルを7日間または28日間、水中養生し、曲げ試験と圧縮試験を行いました。実験の結果より、繊維添加材は曲げ強さには大きな影響を及ぼさず、破壊後に繋ぎとめる役割を果たしたと考えられます。添加量の増加で強度が向上する可能性があるため、さらに実験・検討を進める予定です。

PF-06

◆ハマヤクサイエンス研究会 第3回学術発表会 ほかの研究分野の発表を見る

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